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台風に強い屋根とは?屋根材の種類と形状別にわかりやすく紹介します

日本では、毎年夏から秋にかけて台風の脅威にさらされます。

近年では、強くて暴風をともなった台風がますます増えていることから、北陸地方でも被害が大きくなっています。

その被害のなかで多く見られるのが、住宅の屋根が飛ばされたり、破損したりするケースです。

そこで今回の記事では、台風に強い屋根材や屋根の形状についてわかりやすく解説していきます。

 

台風による被害とその原因

まず、台風が住宅に与える被害とその原因を見ていきましょう。

台風が住宅に与える被害としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 屋根が飛ばされたり、破損したりする
  • 窓ガラスが割れる
  • 外壁に傷つくまたは、崩れてしまう
  • 庭木や電柱が倒れてくる

これらの被害の原因は、台風の強風や大雨によるものです。

台風の強風によって住宅の屋根や外壁などに圧力がかかり、破損や飛散を引き起こします。

また、大雨や強風によって庭木や電柱が倒れ、住宅に直撃することもあります。

屋根が飛ばされる風の強さとは

気象庁によると、住宅(建物)への主な被害は以下のようにまとめられています。

風の強さ(予報用語) 平均風速(m/s) 速さの目安 屋根への主な被害
やや強い風 10以上15未満 一般道路の自動車 雨樋が揺れ始める
強い風 15以上20未満 一般道路から高速道路の自動車 屋根材がはがれるものがある

シャッターや雨戸が揺れる

非常に強い風 20以上30未満 高速道路の自動車から特急電車 屋根材が飛散することがある

固定されていないプレハブ小屋が移動したり転倒したりする

猛烈な風 30以上 特急電車 固定が不十分な金属屋根がめくれる

外壁材が飛散して下地材が露出することがある

住宅が倒壊することがある

参照元:気象庁「風の強さと吹き方」

台風による風は瞬間的に強くなることも多く、屋根の固定や屋根材の飛散について注意が必要なことが分かります。

しっかりと屋根材が固定されていると、台風に強い屋根といえるでしょう。

台風に強い屋根【屋根材別】

では、どのような屋根材を選べば強い台風が来ても安心できるのでしょうか。

一般的な屋根材別に解説していきましょう。

瓦屋根

瓦屋根は、棟や軒先など特定の場所以外は屋根材は固定されていないことがほとんどです。

瓦は、「桟木(さんぎ)」と呼ばれる屋根に設置された細長い材料へ引っかけられています。

そのため、瓦のずれを直す場合や下地の点検等には非常に便利なのですが、強風への備えとしては万全とはいえません。

瓦屋根のなかでも、台風や地震へ対応した「防災瓦」と呼ばれる製品があります。

防災瓦であれば、瓦と瓦を噛み合わせてロックし、さらに釘などで1枚ずつ固定するため、台風に強い瓦屋根といえます。

スレート屋根

スレート屋根は軽くて安価なことから、もっとも多く使われている屋根材ですが、台風に強い屋根とはいえません。

台風による強風で飛散してきたものがスレート屋根に衝突すると、比較的簡単にヒビや割れが生じて、雨漏りの原因となってしまいます。

また、定期的なメンテナンスをしていない場合は、経年劣化した部分からスレート屋根の主原料であるセメントが傷んでもろくなってしまいます。

そうすると、飛来物が衝突しなくても強風の影響だけで、スレート屋根が欠けてしまうことになりかねません。

ガルバリウム鋼板屋根

ガルバリウム鋼板屋根は、耐久性が高く防錆性にも優れている屋根材です。

軽量な屋根材であるため、台風による強風で遠方まで飛ばされてしまったというケースが見られます。

  • 屋根の棟が飛ぶ
  • 屋根材が部分的にめくれて飛ぶ
  • 屋根材全体がめくれて飛ぶ

このような被害が出るのは、やはり定期的なメンテナンスをしていない屋根です。

経年劣化への対策としては

  • 棟に木材が使われている場合は棟の交換
  • 防水シートの交換をして下地材の傷みを予防する

ことが考えられます。

ガルバリウム鋼板屋根は、軽量であるため自宅敷地外への飛散が心配されます。

他の住宅へ被害を及ぼさないためにも、定期的なメンテナンスをおすすめします。

台風に強い屋根の形状

屋根の主な形状には次の4つがあります。

  • 切妻屋根

  • 寄棟屋根

  • 片流れ屋根

  • 陸屋根

風を一度に受ける屋根の面積が狭いほど、影響は小さいと考えられます。

また、屋根の勾配も台風の影響に関係します。

勾配とは屋根の傾きの度合いのことです。

勾配は角度が大きい順に、急勾配・並勾配・緩勾配と呼ばれ、特徴が異なります。

急勾配の屋根は雨がたまりにくく流れていきやすいです。

並勾配の屋根は、もっとも一般的であり何かトラブルがあった場合でも対応しやすい屋根といえます。

緩勾配の屋根は面積が狭いため、風の影響を受けにくいです。

屋根の勾配と形状から考えると、フラットな陸屋根と一方向の屋根の面積が狭く、緩勾配である寄棟屋根が台風に強いといえるでしょう。

一方で、陸屋根は雨が流れにくく雨漏りのリスクが高いです。

同じく、寄棟屋根も屋根のつなぎ目が多くなるため、雨漏りのリスクが高まるデメリットはあります。

台風に強い屋根にリフォームするには

屋根材のメンテナンス

■ガルバリウム鋼板屋根

金属屋根では屋根材の錆び対策が重要です。

錆びを放置していたために、台風による強風での破損や雨漏りにつながります。

定期点検と塗装によるメンテナンスをするように心がけましょう。

■瓦屋根

もっともおすすめなのは防災瓦への葺き替えですが、屋根全体の葺き替えとなると非常にコストがかかります。

今すぐできるメンテナンスとしては、瓦のずれや脱落がないかを確認して強風で飛ばないように補修することがおすすめです。

■スレート屋根

スレート屋根は工場出荷時の塗膜によって、防水性能を持っている屋根材です。

そのため、10年に一度は塗装によるメンテナンスが必要です。

塗膜が傷んだ状態では、スレート屋根の主原料であるセメントがどんどん水分を吸収して、傷みに直結します。

欠けや割れにつながり、台風による強風で飛散や飛来物による崩れといった大きな被害になりかねません。

棟板金の固定

棟板金はどの屋根材を使用していても、台風による強風や大雨の影響を受けやすい部位です。

一般的に、棟板金は耐久性の高い金属板で構成されていますが、長期間にわたって風雨の影響を受け続けると棟板金を固定している釘が抜けてしまいます。

釘の緩みや抜けは、台風による強風での棟板金の飛散に繋がります。

定期的に棟板金がしっかりと固定されているか、専門業者へ依頼して点検するようにしましょう。

カバー工法や葺き替えも視野に

既存の屋根の傷みが激しい場合には、屋根のカバー工法を利用したリフォームや屋根全体の葺き替えについても考えてみましょう。

屋根のカバー工法と葺き替えの違いをご紹介します。

■カバー工法とは

既存の屋根材をそのままにして、その上を覆うように屋根を新設する工法です。

主にスレート屋根のリフォームに使われ、新しい屋根にはガルバリウム鋼板屋根を使用するのが一般的です。

カバー工法のメリットとしては、廃棄物が少なくて済み、工期も短く、費用もおさえらることが挙げられます。

しかし一方で、屋根全体の重量が重くなり耐震性能が低くなる、屋根の下地材まで劣化している場合は効果が期待できないことが

デメリットとして考えられます。

■葺き替えとは

既存の屋根材を外して、下地材の上の防水シートと屋根材を新しくする工法です。

葺き替えの大きなメリットは、台風に強い屋根材を選択できることです。

また下地材である防水シートも交換することで、台風による大雨でも雨漏りのリスクが軽減されます。

一方、屋根材の処理代等で費用は高くなるため、屋根のリフォームのなかではもっとも高額な工法といえるでしょう。

まとめ

台風に強い屋根を選び、既存の屋根を台風による強風や大雨に対して強くすることで、荒天でも安心して暮らすことができます。

現在の屋根の劣化が激しい場合には、防災瓦への葺き替えると大きな備えになるでしょう。

また、どんな屋根材であっても、傷んだ状態では台風による強風や大雨に耐えきれません。

定期的な点検とポイントをおさえたメンテナンスこそが、台風に強い屋根を作る秘訣です。

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