
瓦屋根のメリットとデメリットを解説
瓦屋根・スレート屋根・ガルバリウム屋根…一口に屋根といっても、さまざまな種類があります。
どれにするか決める基準は「費用・見た目・特徴」など、人それぞれだと思います。ですが、屋根の特徴はもちろんのこと、メリットとデメリットを把握しておくことも、とても大切です。
今回は昔から馴染みのある「屋根瓦」に焦点を当て、特徴や種類、メリットとデメリットを解説していきます。
瓦屋根の種類と特徴
瓦屋根にはいろいろな種類がありますが、そのなかでも一般住宅に使用されることが多いのが「粘土瓦」です。粘土瓦は、天然の粘土から作られています。呼ばれ方は「日本瓦・和瓦・いぶし瓦・陶器瓦」など、さまざまですが、これらは全て粘土から作られた瓦です。
そして粘土瓦にも種類があり、「釉薬瓦(ゆうやくがわら)」と「無釉瓦(むゆうやくがわら)」の2種類に分かれます。ここでは、釉薬瓦について、無釉薬瓦のなかで代表的な「いぶし瓦」について解説します。
釉薬瓦とは
釉薬瓦は瓦の表面に釉薬を塗り、コーティングしている瓦のことです。釉薬とは、陶磁器に光沢を出したり、液体が染み込むのを防ぐために塗られるガラス質の薬品のことです。
釉薬瓦は瓦の表面に釉薬をかけ、化学反応を起こすことで色味を出しているので、さまざまな色味を出せるのが特徴です。また、瓦の表面がガラス質になっている釉薬瓦は、雨水が浸透しないので長い年月が経っても美しい状態を維持することができます。そのため、塗装のメンテナンスも不要です。
いぶし瓦とは
いぶし瓦は瓦を焼き上げる工程で、瓦を燻す(いぶす)ことから「いぶし瓦」と呼ばれ、釉薬を塗らずに焼き上げるので無釉瓦に分類されています。
いぶし瓦は瓦を焼き上げる最後の工程で、釜のなかを無酸素状態にしてLPGというガスを入れます。そのガスが瓦を還元反応させ、表面に炭素の皮膜を形成されることで銀色の色味を出しています。
釉薬の塗った部分だけが化学反応で色味がでる釉薬瓦とは違い、いぶし瓦は瓦全体に銀色の色味が出るのが特徴です。いぶし瓦は経年劣化により炭素膜が剥がれ、色むらができてしまうこともありますが、それも一つの味として楽しむことができます。
瓦屋根のメリット
先ほどは屋根瓦の種類と特徴について解説しました。では、屋根瓦にはどんなメリットがあるのでしょうか。確認していきましょう。
耐用年数が長く耐久性にも優れている
瓦屋根のメリットは耐用年数が長く、耐久性にも優れており、耐用年数は50年以上と言われています。とくに釉薬でコーティングして焼き上げている釉薬瓦は、雨水が瓦に浸透しにくくなっているので、雨漏りの心配もありません。
いぶし瓦は釉薬のコーティングがないことから、耐久性は釉薬瓦よりもほんの少しだけ劣ってしまいます。ですが、スレート屋根やガルバリウム屋根に比べると、高い耐久性を持っています。
ランニングコストにも優れている
瓦屋根は、ランニングコストにも優れていることがメリットです。現在の瓦屋根は質も上がったことから、経年劣化によって釉薬が剥がれることはありません。よって、塗装のメンテナンスは不要です。
瓦屋根の初期費用は、スレート屋根やガルバリウム屋根に比べると高くなってしまいます。ですが、外的要因がない限りは半永久的に長持ちするので、ランニングコストから見ると優秀と言えます。
バリエーションが豊富
瓦屋根というと、なんとなく灰色の屋根をイメージしますよね。ですが、瓦屋根のなかでも釉薬瓦は、釉薬を塗ることで色味やツヤを出しているので、カラーバリエーションがとても豊富です。なかには、50種類以上の色味を取り扱っているメーカーもあります。
さまざまなデザインやカラーのなかから選ぶので「和風・洋風・モダン・ナチュラル」など、どのテイストの住宅に合わせることができます。奇抜な色味も出せることから、近年ではデザイナーズ物件の屋根にも使用されることが多くなりました。
遮音性が高い
瓦屋根は遮音性が高く、雨音が響きにくいことがメリットです。雨音の聞こえ方の具体的な数値は以下の通りです。
- 屋根瓦:約50dB
- スレート屋根:約60dB
- ガルバリウム屋根:約70dB
では、この数値から音の大きやの目安を見てみましょう。
- 50dB:換気扇・室外機
- 60dB:掃除機・トイレの洗浄音
- 70dB:セミの鳴き声・人が多い街頭
音の大きさの目安からみると、屋根瓦は換気扇や室外機などのほとんど気にならない音ですが、スレート屋根とガルバリウム屋根は騒音に感じてしまう大きさだとわかります。
家に屋根裏部屋がある場合は、3つの屋根の聞こえ方にはほとんど差がなく聞こえるようですが、屋根裏部屋がない場合には大きな差が出てしまいます。これらのことから、屋根瓦は遮音性に優れているとわかりますね。
瓦屋根のデメリット
瓦屋根は耐用年数・耐久性に優れ、ランニングコストから見ても優秀だとわかりました。ですが、瓦屋根にもデメリットはあります。ここでは、瓦屋根のデメリットについて解説していきます。
初期費用が高額になってしまう
瓦屋根のデメリットは、初期費用が高額になってしまうことです。注文住宅の場合、家の構造や内装には費用を充てる方が多いのですが、屋根にこだわる方は多くはありません。そのため、屋根の種類を選ぶときには、予算があまり残っていないことも。
予算別に選ぶとなったときには、瓦屋根の初期費用が高いことはデメリットに感じてしまうでしょう。ですが、メリットにも書いたように、ランニングコストから見れば、他の屋根よりも瓦屋根のほうが優れています。その点は覚えておきましょう。
重量があるので耐震を考慮しなければならない
瓦屋根は重量があるため、耐震性が不安だと言われていました。近年では、その欠点を補うために、瓦の重量も計算に入れた設計がされています。
ここで注意しておきたいのが、リフォーム時です。瓦屋根から瓦屋根への葺き替えは問題ないのですが、ガルバリウム屋根やスレート屋根から瓦屋根への葺き替えはできません。基本的に既存の屋根よりも重い屋根は乗せられないからです。
耐震性から見ても、重量を考えた構造がされていない住宅の屋根に、瓦屋根を乗せることはできません。他の屋根の種類から、瓦屋根への葺き替えはできないことは覚えておきましょう。
瓦屋根は初期費用さえ投資すればメンテナンス不要で優秀な屋根
瓦屋根はほとんどメンテナンスが必要なく、耐用年数も長いのでランニングコストはとても優秀です。また、カラーバリエーションも豊富なので、どのようなテイストの住宅にも合わせることができます。
ただし、初期費用が高くなってしまうことや、耐震を考慮した設計をしなければならないことはデメリットと言えます。他の屋根の種類から瓦屋根への葺き替えができないことも覚えておいてください。
初期費用を投資してメンテナンス費用を抑えたい方や、デザイン性を重視する方は、瓦屋根を検討してみてくださいね。