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屋根カバー工法とは?メリット・デメリット・費用・失敗例を解説

屋根カバー工法は、屋根の葺き替え工事とは違い、大掛かりな工事はしなくて済むので、今や屋根リフォームの主流となってきています。

本記事は、屋根カバー工法とはどんな工法で、メリットやデメリット、そして屋根カバー工法で失敗する場合を記述していますので、参考にしていただけることでしょう。

屋根カバー工法を検討されている方に必須情報ですので、一読いただければと願っています。

屋根カバー工法とは

屋根カバー工法とは、今の屋根をそのままの状態に保ち、その上にカバーするように、防水シートと新しい屋根で覆ってしまう工法です。

すなわち、屋根を重ねて二重に葺くため、「重ね葺き」とも呼ばれます。

現在一般的に広く流通しているスレート瓦の上に、金属屋根を被せるカバー工法が評判です。

屋根を葺き替える工事は大掛かりで、大変な手間がかかりますが、それに比べて屋根カバー工法は、屋根のリフォームを手軽に行えるので人気となっています。

屋根カバー工法に使用される屋根材

屋根カバー工法は、二重の屋根になるため重量の面を考えると、軽い屋根材が望ましいです。また、頻繁な修理を必要としない耐久性も必要とされています。

主流として軽量な金属屋根が多く使用され、とくに「ガルバリウム鋼板」の素材が一番人気です。

他に「ジンカリウム鋼板」「エスジーエル鋼板」などがあります。

差し込み葺き屋根カバー工法に注意する

屋根カバー工法と称して、差し込み葺き工法が施工される場合があり注意しなければなりません。

差し込み葺き工法とは、現在のスレート屋根の上に鉄板を差し込んで接着剤で貼りつけ、補強していく工法です。

防水シートも使用されないため防水効果もなく、屋根材も古いままなので、本来の屋根カバー工法と目的が全く違っています。

したがって、屋根カバー工法ではないので、仮に業者から勧められた場合には、警戒心を抱いてしっかり断りましょう。

屋根カバー工法ができない屋根

屋根カバー工法には、施工できる屋根は限られています。
たとえば、下地に劣化がみられたり、屋根材が厚みがあったりする場合は不向きです。

では、カバー工法ができない屋根とは具体的にどんな屋根でしょうか。

  • 過去に雨漏りをした屋根
  • すでにカバー工法をしたことのある屋根
  • 瓦屋根上記を詳しく解説していきます。

一度雨漏りを起こした屋根

過去に雨漏りを起こしたことがある屋根は、下地や建物の躯体が傷み劣化していることが多くあります。そんな屋根を、一度カバー工法で覆ってしまうと、内部の腐食が進んでいても確認することはできません。

ですから、まずカバー工法が可能かどうかの点検を行ってください。しかし、一度雨漏りがあった屋根のカバー工法はしない方がいいでしょう。

また一度雨水が浸み込んだところが腐食していると、新しい屋根を固定するためにクギが打てない場合があります。その場合は、カバー工法ではなく屋根の葺き替え工事になります。

すでにカバー工法をした屋根

屋根カバー工法は2度も施工できません

すでに既存の屋根に新しい屋根材でカバーしているわけですから、それを2度も行うなら三重の屋根になってしまい、建物全体に大きな負担をかけてしまいます。

屋根が重いと建物の重心が上にいくため、地震の際に揺れが激しくなり、耐震性に問題が生じます。ですから屋根カバー工法は、1度しか行えません。

瓦屋根

陶器瓦やセメント瓦は、屋根カバー工法はできません。

なぜなら、瓦には波型形状をしている上、厚みがあるため、その上から新しい屋根材を固定できないからです。

また、瓦はもともと重い屋根材のため、その上に新しい屋根材が加わると、屋根が重くなりすぎてしまいます。

そうなると、耐震性のみならず建物の安全性に問題が生じるため、瓦屋根には屋根カバー工法は不向きといえるでしょう。

屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法は、屋根の下地からなおす屋根の葺き替え工事と違って、簡単に施工できるため多くのメリットがあり人気です。

メリットには以下があります。

  • コストを安く抑えられる
  • 断熱・遮音・防水などの性能が向上する
  • アスベスト問題を回避できる
  • 工事期間が短い

メリットを詳しく解説していきます。

コストを安く抑えられる

屋根カバー工法は、現状の屋根の上に新しい屋根材を重ねるだけです。

ですから、葺き替え工事のように古い屋根材を撤去したり処分したりする費用や人件費を省けます。

そのため大幅なコスト削減できるので、カバー工法は高い人気を得ている理由といえるしょう。

断熱・遮音・防水などの機能性が向上する

屋根カバー工法は、今までの屋根と新しい屋根が二重になって天井を覆うため、雨音が気にならなくなったり、暑さや寒さから室内を守る効果が向上します。

また防水性も強化されるため雨漏りの心配が少なくなります

軽くて薄い金属屋根は屋根カバー工法におすすめといえるでしょう。

なぜなら、金属屋根は断熱性や遮音性の低さがデメリットでしたが、屋根が二重になることでデメリットを克服できるからです。

アスベストの問題を回避できる

スレート屋根の材料に、2004年までは発がん物質のアスベストが使用されており、問題視されていました。現在ではアスベスト入りのスレート瓦は、使用禁止になり製造・販売はされていません。

しかし、2004年以前に葺き替えられたスレート瓦は、時代的にも葺き替え工事を行う必要が生じており、アスベストの処分を適正に行う必要があります。

アスベストの処分費用は、年々高額しており、解体時には近所に飛散しないよう対策しなければなりません。

しかし、屋根カバー工法なら、解体や処分費用など発生しないため、アスベストの問題も回避できます。

工事期間が短い

屋根を葺き替える場合は、周囲に養生を施し古い屋根を解体し撤去する手間がかかりますが、カバー工法の場合はその作業は省けますので、工期が短くてすみます。

一般的に、葺き替えり工事の時は、工期が7〜15日もかかりますが、カバー工法の場合は工期は約5〜7日で完成します。

ただし、屋根の面が多かったり(寄棟屋根)、込み入っていたりすると、工期も費用もかかるので注意が必要です。

屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法は屋根の葺き替えに比べると工期やコストの面などでメリットが多く人気ですが、デメリットもあります。

デメリットとして以下の点が挙げられます。

  • 屋根が重くなり耐震性に影響する
  • 以後の修理やリフォームが高額になる
  • アスベスト問題を先送りする

それでは詳しく解説していきます。

屋根が重くなり耐震性に影響する

屋根カバー工法は、新しい屋根を重ねて乗せる二重構造になるため、屋根が重くなります。

前述しましたが、屋根が重くなると、建物の重心が上に行くため、地震の際の揺れが強くなる傾向があり、耐震性が低くなります。

しかし、軽量の金属屋根は重さが1㎡あたり約5kgから10kgですから、金属屋根でカバー工法を行う場合は、重さの心配はあまりしなくていいでしょう。

以後の修理やリフォームが高額になる

屋根カバー工法を施工したあと、修理やリフォームが必要になった場合は、通常より金額が高くなります。

なぜなら、二重構造になった屋根材を剝がして修理するのに手間がかかるからです。

アスベスト問題を先送りする

屋根カバー工法のメリットで、アスベストの問題を回避できると記述しました。

しかし、これは同時にアスベストの問題を先送りすることにほかなりません。

将来、葺き替え工事が必要になった時、アスベストを含んだスレート瓦を解体するときには、アスベスト処分費が必要になります。

しかし、アスベストの処分費用は年々高騰し、数十年後には現在よりもっと高額になっている可能性があります。

アスベスト問題を先送りしてしまうと、子孫にシワ寄せがくることを銘記しておきましょう。

屋根カバー工法の相場費用

屋根カバー工法の相場費用は、屋根材の種類や屋根の面積や形状によって違ってきます。
一般的な費用相場は、足場代を含めて80~150万円程度を想定しておくといいでしょう。

屋根カバー工法でありがちな5つの失敗例

屋根カバー工法をして失敗した例を5つ紹介します。

火災保険が適用されない

台風や豪雨などの自然災害で屋根を修理する場合、屋根の葺き替え工事や部分補修には火災保険が適用されます

しかし、火災保険は被災した箇所を「なおす」ことが目的のため、屋根カバー工法には適用されません。なぜなら、カバー工法は、被災した屋根をそのまま残して施工されるので、なおすことにならないからです。

火災保険が適用されると、修理費用を全額負担してくれる場合もありますから、自然災害が関係している時は、屋根カバー工法を慎重に検討する必要があります。

部分的な修理が難しくなった

屋根カバー工法は、新しい屋根材が金属屋根が主流となっています。

しかし、金属屋根をカバー工法で使用する場合、屋根の一面を工場で形成して、現場に持ってきて固定する方法が取られるため、屋根材を部分的に外して修理できません

修理が部分的でも全体に及んでしまうことになり高額になってしまいます

勾配が緩い屋根は雨漏りしやすい

屋根の傾きと同じ方向に張る屋根のことを縦葺き屋根といいますが、それに対し水平方向に張る屋根を横葺き屋根と呼んでいます。

横葺き屋根は雨水が溜まりやすく、さらに勾配が緩いと雨漏りの原因となります。

勾配が緩い場合は、縦葺き屋根の施工にするとよいでしょう。

外壁リフォームを別にすると二重負担になった

屋根にリフォームが必要になった時は、外壁も劣化していることが多いため、一緒に工事するのは賢明です。なぜなら、足場代や業者への諸経費は1度だけ払ってすむからです

足場代などは15万円と決して安くはないですし、その他の経費も二重に払うのは無駄になります。ですから、外壁工事と一緒に検討するのは、長いスパンでみるとコスト削減になるでしょう。

業者選びを間違った

屋根カバー工法は、雨漏りが起きやすい屋根に関わるため、熟練した経験と専門知識が必要です。

カバー工法に慣れていない業者に、うっかり依頼してしまうと、施工不良が起こることがあります

最低3社と相見積もりを取ることは望ましいですが、その場合それぞれの業者の実績を確認し、信頼できる地元密着型の業者を慎重に選びましょう

まとめ

屋根カバー工法に不向きな屋根もありますが、それ以外ですとコスト面や機能性の向上といったメリットが多い施工法です。

ですから、現在屋根カバー工法を選択される方が多い理由を、ご納得いただけたのではないでしょうか。

デメリットや失敗例を参考に、適切に屋根カバー工法を検討していかれますよう願っています。

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