
瓦棒葺きとは?メリットとデメリット、メンテナンス方法も紹介!
瓦棒葺きとはどんな屋根なのでしょうか。
実は名前に瓦の名称がついていますが、日本瓦とは無縁の金属屋根のことです。
しかし名前の由来はなんでしょう。
本記事は瓦棒葺きの名前の由来や特徴、メリットやデメリット、類似した他の工法や、メンテナンスなどを一挙に解説しています。
この機会に瓦棒葺きの理解を深めて、金属屋根の魅力について知って検討していただければと願っています。
瓦棒葺きとはどんな屋根か?
「瓦棒葺き」の読み方は「かわらぼうぶき」で、昔からあるトタン屋根のことです。現在はガルバリウム鋼板に代わろうとしています。
したがって、名称に瓦という名が入っていても、日本瓦とは全く無縁ですので誤解しないようにしてください。
そして瓦棒葺きは、金属屋根を施工する時にだけ使われる独特の工法といえるでしょう。
さらに詳しく説明しますと、瓦棒と呼ばれる芯木となる木材を、屋根の勾配に沿って30~45㎝程の間隔で屋根下地の垂木にクギで打ち付けます。
次に、瓦棒に屋根材となる金属板を巻き付けて固定して設置することで瓦棒葺きの屋根が出来上がります。
こうして、金属鋼板を固定する際に、瓦棒という木材が使われていることで「瓦棒葺き」と呼ばれる由来となっていることがわかるでしょう。
瓦棒葺きに使用される屋根材
先に少し触れましたが、瓦棒葺きで使用される屋根材は、金属屋根材のみです。
繰り返しになりますが、日本瓦や他の瓦には一切使用されませんので注意しましょう。
瓦棒葺きに使用される金属屋根素材は、主にトタンとガリバリウム鋼板です。
さらに、他にも銅板、ステンレス、チタンなどがありますが、かなり高価な屋根材になります。
本記事では、主に使われるトタン屋根とガリバリウム鋼板の金属屋根材について解説します。
トタン屋根
トタンは、鉄の鋼板の表面に亜鉛メッキを施し、サビを防いだ屋根材です。安価なうえにサビを防いだメッキで、一時は広く普及しました。
またトタンの軽さは、積雪量の多い地域で、雪の重みで屋根に過重がかかりすぎるのを防ぐ役割を果たします。
さらにトタンの加工のしやすさは、住宅や工場、倉庫などに幅広く使われています。
しかし、トタンの弱点は、酸性やアルカリ性に弱く、どちらかに傾くとメッキの腐食が速まることです。
そして、耐久性は低く錆びやすいので定期的なメンテナンスが重要になってきます。
また工業の発達の影響で酸性雨が問題視されるにつれ、トタンの弱点が強調されるようになりました。
トタンの表面の小さな傷から、一気にサビが広がってしまう事態を招いたのです。
トタンのこうした弱点から、最近ではトタンはほとんど使われなくなりました。
- トタンの単価は、4,500~7,000円/㎡で、耐用年数 10~20年です。
ガルバリウム鋼板屋根
ガルバリウム鋼板は、トタンの良い点をそのままに、しかも弱点を克服した屋根材です。
トタンはメッキに亜鉛のみを使っていますが、ガルバリウム鋼板は亜鉛にアルミニウムとシリコンが加えられ、サビに強くなっています。
そして、ガルバリウム鋼板は、軽量で酸性雨によるサビの心配がなく耐久性、断熱性に優れた屋根材といえるでしょう。
また、住まいの外壁の雰囲気もモダンな印象になり美観を引き立てます。
トタンに比べると高価ですが、耐用年数が長く、品質の高さを考えるとコストパフォーマンスは良いため、トタンに代わる屋根材として注目され、金属屋根の中で最も高い人気を誇っています。
- ガルバリウム鋼板の単価は、5,000~7,500円/㎡で、耐用年数は 20~30年です。
瓦棒葺きのメリット
金属屋根を施工するための瓦棒葺きには3つのメリットがあります。
- 軽さ
- 防水性と排水性がよく雨漏りしにくい
- 施工が簡単でコスト削減になる
屋根材としては嬉しいメリットですので順番に説明していきます。
軽さ
屋根が軽いことは、建物にかかる負担も少なく、地震の揺れにも強いメリットがあります。
建物への負担が少ないということは、建物全体の構造に及ぼす影響も少なくてすむので、基礎や柱の設計を簡略化できコスト面でも有利です。
また屋根の軽さは、建物全体の重心を低くできるので安定性が増し、地震の際に揺れが軽くなります。
金属屋根の重さは約6kg/㎡で、一般的なスレート屋根でも20kg/㎡ありますから、屋根材の中でも一番軽いといえるでしょう。
防水性と排水性がよく雨漏りしにくい
瓦棒葺きは、排水性がよく雨水が流れていきやすく雨漏りがしにくいメリットがあります。
なぜなら、屋根の上から下まで一枚の金属屋根材を使うため、継ぎ目が少ない工法だからです。
また排水性の良さは、一寸勾配の傾斜角度が約5.9度しかない緩やか勾配の屋根にも適しています。
本来、緩勾配の屋根は雨水が流れにくく水捌けが悪いため、雨漏りのリスクが大きくなるものですが、瓦棒葺きはその弱点を補っています。
また瓦棒の複雑な形状は、水が入り込みにくい構造のため、防水性も高い屋根といえるでしょう。
施工が簡単でコスト削減になる
瓦棒葺きは、施工方法が簡単なことから、さまざまな面でコストを削減できます。
瓦棒葺きは、工場で屋根のサイズに合わせて加工し現場に持っていきます。
現場では屋根のサイズの広い面積を張るだけですみますから、非常に簡単に終わるので施工費用も安くすみます。
また工事の期間が短いということは、その分の人件費も削減できます。
ですから瓦棒葺きは、施工のしやすさと人件費などコストを抑えられる大きなメリットがあります。
瓦棒葺きのデメリット
瓦棒葺きは、屋根も軽く低コストで雨漏りしにくいメリットがありますが、デメリットも存在します。
次に以下の3つを解説します。
- 芯木が腐食する
- サビやすい
- 音が響く・熱が伝わりやすい
芯木が腐食する
前述しましたが、瓦棒葺きは、瓦棒である芯木となる角材を金属で覆っています。
瓦棒は屋根の縦方向に一定の間隔で設置され、トタンやガルバリウム鋼板の金属屋根を下地の垂木に固定しています。
しかし、瓦棒の芯木が、軒まで流れてきた雨水を吸い込んでしまう場合があるのです。
その結果、芯木が腐るという重大なことが起こります。
そうなると金属屋根の固定も緩んでしまい、台風などの強風で屋根全体が捲られ吹き飛ぶ危険性が生じます。
サビやすい
瓦棒葺きの金属屋根ならではのデメリットとしてサビの発生があげられます。
いくらメッキでサビを生じにくくさせても、屋根という設置場所を考えると、強風で飛んできた飛来物で傷つきやすく、その傷からサビが発生してしまいます。
サビが進んでしまうと、屋根材の穴が開いてしまう可能性があります。
また瓦棒の芯木の木と金属は相性が悪く、接触することで電気が発生し電蝕という現象を起します。この電蝕がサビを起こす原因にもなるのです。
音が響く・熱が伝わりやすい
金属屋根は、日本瓦のように厚みや空気層がなく、鋼板を屋根下地に直接取り付けているため、音の反射と振動が強く伝わってきます。
例えば、雨が降る音や風の音が大きく屋内に響くことになりますので、音に敏感な方には不向きといえるでしょう。
また金属は熱伝導がよいため、外気温の影響を強く感じ、夏の暑さと冬の寒さは体に堪えてしまう可能性があります。
しかし、ガルバリウム鋼板には断熱材入りのものも出ていますので、検討してみるのもいいでしょう。
ですが、瓦棒葺きを使用する際には、遮音性や断熱性に乏しい金属のデメリットを十分考慮する必要があります。
瓦棒葺きと類似した立平葺きとの違いと費用
繰り返しになりますが、瓦棒葺きは、瓦棒に芯木という角材が使用され、屋根材の下の垂木にクギを打つことで、金属屋根が固定される工法です。
これに対して瓦棒葺きと類似した立平葺きという工法が開発されました。
立平葺きと瓦棒葺きとの大きな違いは、金属鋼板を固定するための垂木がないことです。
さらに立平葺きは、瓦棒を使用せず、金属同士を複雑に組み合わせることで固定していく工法です。
(下記の図を参照)
瓦棒が不要になったことで、瓦棒の芯木が雨水を吸って腐食する心配がなくなり、瓦棒葺きの弱点が克服されるわけです。
また瓦棒のように芯木で幅を取ることがないため、瓦棒にあたる部分が小さくてすみます。
これにより、瓦棒葺きより平らなフォルムになり、シンプルな美観を希望する人から人気が高まっています。
施工費用は、瓦棒葺きも立平葺きも、4500~5500円/㎡で変わりません。
瓦棒の断面図です。
瓦棒葺きのメンテナンスと費用
瓦棒葺きは定期的なメンテナンスとリフォームを必要としています。
塗装
金属屋根は塗装が剥がれると、金属面がむき出しになり、サビの発生と進行につながります。
それで定期的な塗装が必要になります。
金属屋根を塗装し直すことで、サビを防止するだけでなく、防水を強化し色あせや劣化を改善し美観を保てるでしょう。
費用は屋根の面積や塗料のランクによって異なりますが、10万円から30万円程度です。
カバー工法
カバー工法は既存の屋根の上に、新しい屋根材をのせる工法です。
瓦棒葺きなどの平らで軽量な屋根材に適しており、例えば、傷んだトタン屋根からガルバリウム鋼板を上からカバーするようにリフォームします。
費用も解体費用などを省略でき工期も短くてすむので、葺き替えるより安くすむ利点があります。
また遮音性や断熱性や防水性がアップすることもメリットです。
1㎡あたり8,000〜1万円くらいが相場です。
さらに、全体の施行費用の相場をみますと、小規模な場合は30~60万円で、大規模になると120万円ほどかかります。
ただし、カバー工法を選択しますと、新しい屋根材をそのまま既存の屋根にのせるため、古い屋根の瓦棒の中の劣化や腐食がわからなくなってしまうので注意が必要です。
ですから、カバー工法を施工する前には、既存の瓦棒の状態を十分点検・調査してからすることが重要といえます。
もし、瓦棒が劣化して腐食しているまま、カバー工法で新しい屋根を被せてしまうと、建物自体に劣化が広がって大変なことになりますから注意してください。
葺き替え
金属屋根がサビて穴が開いているなど、劣化が激しい場合は古い屋根材を取り除き下地からやり直す「葺き替え」が必要となります。
例えば、トタン屋根より性能が高いガルバリウム鋼板への葺き替えがおすすめです。
また、一般的な30坪の住宅では、90万~140万円が費用相場です。
まとめ
瓦棒葺きは古くからトタン屋根に施工されていた工法ですが、メリットとデメリットがあります。
金属屋根特有の特徴ですが、安くて軽い反面、サビやすく遮音性や断熱性が弱点です。
ですが、断熱性に富むガルバリウム鋼板もありますので、メリットを生かせる建物で使用すると最大限に良さを生かし活用できるでしょう。
瓦棒葺きに興味を抱くと、類似した新しい工法にも出会えますので、金属屋根の魅力を引き出して美観の伴った外観の建物を施工してください。