【屋根葺き替え】費用・種類別の相場と内訳・安くなる方法を解説
長く住み続けていたい自宅も古くなってくると修繕が必要になってきます。
その際、屋根の葺き替え工事の必要も視野に入れておかなければなりません。
そこで屋根を葺き替え工事に必要な気になる費用相場と、屋根材の種類による違いで生じる費用などを紹介したいと思います。
また屋根材の他にも必要な材料が出てきますが、それらの内訳も参考に知っておくことも費用全体を知る上で役立つことでしょう。
そして、業者によって幅がある見積で損をしないための方法や、費用を節約できる制度などを解説します。
この記事は、適正価格と節約の知識を得ることで、できるだけ安い金額で屋根の葺き替え工事のために役立つよう書かれていますので、最後ま読んでいただければ幸いです。
屋根葺き替え工事の費用相場
屋根材はたくさんありますが、その中から使用頻度が高い屋根材を選び費用相場を記述します。
なお、下記は2階建80㎡の場合を想定し足場代は入れていません。
屋根の葺き替え工事の屋根材 | 費 用 |
瓦屋根(葺き土なし) | 120~170万円 |
瓦屋根(葺き土あり) | 160~210万円 |
スレート屋根(アスベストなし) | 110~150万円 |
スレート屋根(アスベストあり) | 130~170万円 |
トタン屋根 | 100~130万円 |
横葺き金属屋根 | 120~150万円 |
アスファルトシングル | 120~170万円 |
屋根葺き替え工事のメリット・デメリット
屋根の葺き替え工事にも、メリットとデメリットが生じます。
メリットを2つ、デメリットを3つ説明します。
メリット
1.屋根の下地などを直し家を長持ちさせる
屋根を葺き替えする際には、屋根にかかわる素材すべてに目が行き届きます。
つまり瓦やスレートなどの屋根材すべてを取り除くため、その下にある内部の下地木材まで点検できるのです。
木材が腐食していたり、防水シートが傷んでいたりした場合は、すぐに修理できます。
屋根の葺き替えによって、防水性を完全に回復でき、新しくした屋根材により風雨にも強くなりますので、結果として家は長持ちすることになります。
2.建物の耐震性を上げる
屋根を葺き替える際に、新しい屋根材を軽量なものに変えると、屋根全体が軽くなります。
すると屋根が軽くなる分、建物の重心を下げられるので、地震の揺れに強くなり耐震性が上がります。
デメリット
1.葺き替えの工事費用が高い
屋根を葺き替える場合には、古い屋根材を取り除けるため、足場代や人件費、処分費用などさまざまな経費がかかってきます。
決して安い工事ではなく、それ相当の予算を組む必要があり、一生に一度にしておきたい工事といえるでしょう。
2.施工中、雨に弱い期間がある
葺き替え工事の作業中には、短期間ですが屋根の下地木材が露わになる時があります。
この時に雨に降られると、下地をビニールで覆うなどの余分な作業が生じます。
葺き替え工事はできるだけ梅雨の季節を避けた方がいいでしょう。
3.音やほこり、振動が発生する
屋根材を撤去する際に、下に落ちる音が騒音になる場合があります。
その際にほこりが舞い、振動が発生します。
屋根を葺き替える工事をする際には、ご近所にあらかじめ伝え丁寧に挨拶しておくとよいでしょう。
葺き替え工事の新しい屋根材別の費用相場
約100㎡の建物の屋根葺き替え工事の費用相場は、100~240万円程度です。
もちろん古くなって葺き替える屋根材と新しくする屋根材によって費用は変わってきますし、屋根の形状や勾配によっても変動します。
下記に屋根材をどれから何に葺き替えるのかの費用相場をまとめます。
屋根葺き替え工事の費用の内訳
屋根材の他に必要経費として、撤去する費用と処分費、新しい屋根材の施工費、下地の補修費、防水シートの張替、足場を組んだりする内訳を下記にまとめます。
葺き替え工事が必要な屋根の状態で、下地の補修程度が変わり費用も大きく異なる場合もあります。
上記の内訳に以外に、福利厚生費や諸経費、残材の処分費用等が加算されます。
なお現在の建築資材は、ウクライナ紛争などによるウッドショックで高騰しており、上記の目安は2022年3月時点の数字です。
屋根葺き替え工事を検討する時期
下記の場合には屋根葺き替え工事を検討してください。
- 屋根が破損している
- 屋根材の耐用年数に近づいてきた
- 屋根から雨漏りがする1.屋根が破損している場合は、さらに破損が進み屋根材が落下するなどの大きな事故に繋がる可能性があります。
そうなる前に早めに葺き替え工事をした方がいいでしょう。
2.屋根の耐用年数は、瓦では60年、瓦以外の屋根材は30年ほどですので、耐用年数が近づいている場合も屋根の葺き替え工事を検討する時期です。
たとえば、スレート屋根などは定期的な塗装メンテナンスの時期と重なる場合に、すでに25年を経過しているなら塗装より葺き替え工事をおすすめします。
3.屋根が雨漏りしてきたら部分補修を行いますが、複数個所での雨漏りなら、この際、屋根の葺き替え工事を検討してください。
屋根の葺き替え工事とカバー工法どちらがいいか
カバー工法とは、古い屋根材の上に新しく軽い屋根材をかぶせる工法のことです。
カバー工法だと、古い屋根をはがして処分するための手間と費用がかからない分、工事の費用も期間も抑えられるメリットがあります。
またカバー工法の相場費用は約80~150万円程度みておくといいでしょう。
そして相場費用に幅があるのは、新しくかぶせる屋根材によって金額が大きく変わってくるためです。
なお、カバー工法はどんな場合も行えるとは限りません。
カバー工法が不向きな場合は下記の3つが挙げられます。
- 瓦にはできません。瓦は厚みがあり、波打つような立体感があるためです。
- 屋根の内部が傷んでいる場合は、傷みを無視して新しく屋根をかぶせられません。
- 新しくかぶせる屋根材は、軽いものに限られます。
たとえば、一般住宅のスレート屋根の上にガルバニウム鋼板、アスファルトシングルなどをかぶせるケースがよくあります。
カバー工法が可能な条件がそろっていると、費用や工期が抑えられていいように思いますが、長い目でみると違う場合があります。次にその点について説明します。
カバー工法は負担を子孫へ先送りすること
屋根の葺き替え工事が必要になっている場合に、カバー工法を行うのは、明確な言い方をすると「一時的な間に合わせ」といっていいでしょう。
なぜなら次に葺き替え工事が必要になると、カバー工法の上にカバー工法はできないからです。
つまり最初のカバー工法で設置した屋根材を取り払うだけでなく、その下にある既存の屋根材も撤去することになります。
そうした分別しながらの二重の撤去作業となり、却って余分な手間と費用がかかるわけです。
また古いスレート瓦にはアスベストが含まれることが多く、アスベストの撤去・処分費は今後ますますの高騰が考えられるため、カバー工法で面倒を先送りせずに屋根の葺き替え工事に取り組むことをおすすめします。
カバー工法はその時は費用を抑えられますが、一時的な間に合わせにしぎません。
なぜなら、次に巡ってくることになる屋根葺き替え工事をする際の合計金額は、二重に大きな金額となって跳ね返ってくるからです。
ですから、カバー工法は多大な負の遺産を子孫に先送りすることになり、推奨できないメンテナンスといえるでしょう。
屋根の葺き替え工事の高額な費用を抑えるコツや制度
屋根葺き替え工事は大掛かりになりますので費用も高額です。
ですから少しでも費用を節約したいものですね。次にできるだけ安くする方法を紹介します。
- 外壁改修工事と併せて行う
-
相見積もりで適正価格を知る
-
利用できる補助金や助成金を調べてみる
-
葺き替える原因が自然災害なら火災保険が利用できる。
上記の点について解説していきます。1.外壁改修工事と併せて行う
屋根葺き替え工事に必要なのが足場です。これは安全に作業するために欠かせません。
足場設置の費用目安は15万~20万円です。
外壁改修をする際にも同様に足場が必要ですので、同時に行うなら足場設置の費用を2回も支払わずに済むので節約になります。
2.相見積もりで適正価格を知る
屋根の葺き替え工事をする際には、最低3社から相見積もりを取りましょう。
というのは、工事費用は施工業者によって大きな差が出ることがあるからです。
たとえば、一つの業者の見積もりが150万円だったのに、もう一件の業者の見積もりでは270万円ということは頻繁にあります。
見積を1社にしてしまうと、その1社が高額な業者であったら多大な損失をこうむります。
ですから最低3社から相見積を取ることは、常識と考えましょう。
相見積を取るなら、Aの業者が140万円、Bの業者が260万円、Cの業者が160万円という具合に、費用のだいたいの適正価格が分かってきます。
このように相見積もりで適正価格を調べることで、無駄に高額な費用を支払わないようにして費用を節約できます。
ただし、見積をしてもらう際には、現地を確認してもらってからにしてください。
なぜなら、工事をする建物の立地で、廃材を処分するトラックが横付けできない場合は、一輪車を押して手作業で運び出す必要があるからです。
その場合はかなり割り増しになりますので注意しましょう。
3.利用できる補助金や助成金を調べてみる
補助金の制度を活用するなら、葺き替え工事の費用を大いに節約できる場合があります。
たとえば「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という制度を活用すると、1戸あたりの補助限度額が80万円まで補助されます。(※評価基準型)
国土交通省・令和6年長期優良住宅化リフォーム
また各自治体が独自の補助金・助成金制度を設けている場合もありますから、問い合わせてみるとよいでしょう。
これらの制度の活用で、工事費の一部を節約できますので、利用できる制度を探してみてください。
4.葺き替える原因が自然災害なら火災保険が利用できる
不幸にも自然災害に遭いそれが原因で、屋根の葺き替え工事が必要になった時は、火災保険が適用され費用の大半をカバーしてもらえますので安心できます。
たとえば、台風の強風などで屋根が吹き飛ばされて、屋根の葺き替え工事が必要になった場合には火災保険の補償対象です。
ですから火災保険の適用により、免責金額を除いた工事費用をまかなえますので、工事費用を大幅に節約できます。
ただし、火災保険はあくまでも自然災害による損害の補償ですので、言うまでもないことですが、経年劣化は対象外であることを忘れないでください。
まとめ
屋根の葺き替え工事は大変な作業です。
気になるのは費用ですが、この記事から屋根材によってことなる費用相場や他の必要な材料の内訳をお伝えしました。
新しい屋根材に交換する際の費用も参考にしていただけたのではないでしょうか?
またカバー工法は費用も安く工期も短いですが、大変な葺き替え工事の負担を子孫に負わせる先送りで、おすすめできません。
しかし費用を安く抑えるコツや費用を節約できる制度などもあります。
この記事が、大切な家を長く大事に暮らすためにも、人生に一度だけ必要となる屋根の葺き替え工事を、できるだけ安く確実に施工していただける参考になればと願っています。