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和瓦とは?特徴とメリット・デメリットをわかりやすく解説

日本で古くから住宅の屋根材として使用されてきた和瓦。和風建築に良く似合うデザインとその耐久性から、現在も人気がある屋根材です。

今回の記事では、そんな和瓦の特徴をわかりやすく解説していきましょう。また、和瓦を用いるメリット・デメリットや和瓦の劣化症状についてもご紹介します。

和瓦を使った住宅にお住いの方、これから和瓦の使用を検討している方におすすめの内容となっています。ぜひ最後までお読みください。

和瓦の特徴

和瓦の特徴といえば、重厚感があり落ち着いた印象です。和瓦は、粘土を使用して焼き上げられる粘土瓦です。

その中でも和瓦は、特に和風建築にあう形やデザインに作られています。別名、日本瓦、J形瓦とも呼ばれる和瓦。純和風の住宅はもちろん、洋風住宅にも使用される人気の屋根材です。

和瓦の中でも有名なのが、日本三大瓦を産出している三州瓦、石州瓦、淡路瓦です。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

三州瓦

三州瓦とは、愛知県西三河地方で生産されている和瓦です。三河藩が由来となり三州瓦と呼ばれています。

矢作川の下流からとれる粘土はきめ細かくとても高い品質を誇っています。さまざまなカラーバリエーションが特徴の三州瓦は、大手のハウスメーカーの多くが採用しています。

江戸時代から全国に広まっていった三州瓦は、日本国内の販売数がもっとも多い瓦です。

石州瓦

石州瓦は、島根県西部の石見地方で生産されている和瓦です。石見焼が元となって生産され始めた石州瓦は、粘土瓦の中ではもっとも高い1,300℃以上の高温で焼き上げられます。

冬は雪が多い、日本海側の厳しい気候に耐えられるように改良を加えられてきた石州瓦。塩害にも強いのが大きな特徴です。

江戸時代から出荷を続ける高品質な瓦の製造量は日本第2位を誇ります。

淡路瓦

淡路瓦といえば、いぶし瓦です。いぶし瓦の製造のシェアは、兵庫県淡路島の南あわじ市で作られている淡路瓦がトップです。

京都や大阪、奈良などの歴史的建築物には淡路瓦が多数使用されています。

淡路瓦は、淡路土(別名なめ土)という焼き上げるときめ細かい仕上げになる粘土を原料としています。淡路瓦の焼成温度は、約1,000℃と三州瓦や石州瓦に比べて低温です。

和瓦の種類

和瓦には主に2つの種類があります。一つは表面にガラス質の釉薬をかけて仕上げた釉薬瓦、もう一つは製造過程で空気を遮断して焼成するいぶし瓦です。

それぞれの和瓦についてくわしく解説していきましょう。

釉薬瓦とは

表面にガラス質の釉薬をかけて仕上げる釉薬瓦は、つややかな表面の輝きと豊富な色合いが特徴です。長い期間、強い日差しや雨風にさらされても色あせせず、住宅の美しい外観を損ねません。

別名は陶器瓦とも呼ばれる釉薬瓦は、うわぐすりの調合でさまざまな色を出せるのが魅力です。

いぶし瓦とは

いぶし瓦も粘土瓦の一種です。粘土を瓦の形にかたどったのち、釉薬をかけずに窯の中で焼成します。そのあと空気を遮断して蒸し焼きにすることで、瓦の表面に銀色の炭素の膜を形成する燻化工程が特徴です。

日本建築の寺社や城の屋根に使用されている瓦は、ほとんどがいぶし瓦です。いぶし瓦は釉薬がかかっていません。そのため、表面の炭素膜が経年劣化で剥がれ落ちることによって、瓦の表面が変色する、水が浸透しやすくなる、寒さによって凍るなどの症状がみられることがあります。

和瓦のメリット・デメリット

和瓦は粘土瓦の一種であり、大きく分けると釉薬瓦、いぶし瓦の2種類あることがわかりました。続いては、知っておきたい和瓦のメリット・デメリットを具体的にご紹介します。

和瓦のメリット

重厚感があって丈夫な和瓦には、他にどのような屋根材としてのメリットがあるのでしょうか。一つずつ解説していきましょう。

屋根の塗装が不要

粘土瓦の一種である和瓦は、粘土を1,000℃以上の高温で乾燥させて焼き上げています。そのため、スレート瓦など、セメントを原料としている屋根材とは違って塗装を行わなくても雨水がしみ込む心配がありません。

塗装によるメンテナンスが不要なのは大きな和瓦の大きなメリットといえるでしょう。

耐久性が高い

硬く焼き締めて作られる和瓦は、強度が高く長期間にわたって耐久性を維持できます。台風などで飛来したもので和瓦が割れることがあっても、一部を差し替えるだけで補修できます。

和瓦自体の耐久性は100年以上あり、適切にメンテナンスすることで長期間の使用が可能です。

断熱・遮音性能に優れている

粘土製の和瓦は、断熱性能がとても高いです。暑い夏や寒い冬も外気温の影響を受けにくく、住まいを快適な環境に保ってくれます。また粘土は音を伝えにくい性質もあわせ持っています。和瓦の厚さが10~20mmとぶ厚いこともあり、屋根の雨音が気になることはありません。和瓦は遮音・防音性能が非常に高い屋根材です。

和瓦のデメリット

和瓦を新築や屋根の葺き替えで使用するときには、デメリットについてもしっかりと知っておく必要があります。さっそく、和瓦のデメリットを見ていきましょう。

和瓦の重量が住宅の負担になる

和瓦の重量はスレート瓦と比べると2倍程度重いです。屋根を葺き替えるときに、スレート瓦やガルバリウム屋根から和瓦にしたいと思っても、耐震性能が下がるため和瓦を使用することはおすすめできません。

建物全体の耐震性を考えると、屋根材は軽い方が良いといえるでしょう。

初期費用が他の屋根材に比べると高い

和瓦は職人が手作業で葺いていきます。そのため、専門性が高い業者に依頼する必要があり、コストが高くなりやすいです。また、屋根材の価格を比較しても、和瓦はスレート瓦より高く、初期費用を抑えたい方には向いていません。長く使い続けられる屋根材ですが、新築時の材料費や施工費は高くなってしまいます。

和瓦にメンテナンスが必要な症状

和瓦にメンテナンスが必要となるのは、どのような症状が見られたときなのでしょうか。和瓦の点検のポイントと劣化症状についてまとめておきましょう。

棟瓦のゆがみ

和瓦で葺いた屋根の頂点にある瓦は棟瓦と呼ばれます。その棟瓦は一直線に並んでいるのが正常な状態です。もし棟瓦にゆがみが見られる場合は、棟瓦を支えている葺き土が劣化していることが考えられます。

そのまま放置しておくと棟瓦のゆがみが進行して、屋根全体が崩落してしまいます。このようなときには棟瓦の積み直し工事を行いましょう。

漆喰のはがれ

漆喰は瓦屋根の棟部の見栄えを良くする化粧材や、雨水の吹込み防止として使用されています。和瓦自体の耐用年数は50年以上と非常に長いです。

一方で屋根の下地である葺き土に塗られた漆喰は、密着性があまり高くないことから、はがれやすく葺き土の劣化につながるでしょう。漆喰がはがれても、葺き土が住宅への水分の侵入をある程度は防いでくれます。

和瓦を長く使用していくには、定期的に棟部の漆喰や葺き土を点検することをおすすめします。

瓦のずれ

台風や強風の飛来物が屋根にぶつかる被害は、近年の異常気象とともに増加傾向です。他にも屋根に設置していたアンテナが倒れるなどして和瓦が割れたり、欠けたりすることがあります。

和瓦のずれや割れ、欠けを放置しておくと、雨水が瓦の下へ侵入して防水紙や野地板などを傷める原因となります。大がかりな改修になる前に、台風や強風の後は屋根の点検を行い補修するようにしましょう。和瓦は割れ、欠けの部分だけを補修できます。

雨漏り

雨漏りまで屋根材の傷みが進行している場合は、屋根の葺き替えや葺き直し工事が必要になります。雨漏りの症状がみられるときには、和瓦を支えている漆喰や、その下にある防水紙、住宅本体の野地板まで劣化していることがほとんどです。既存の和瓦をはずして防水紙や野地板の交換を行って、もう一度和瓦を葺いていくのが葺き直し、他の屋根材を使用するのが葺き替え工事です。

和瓦の特徴を知って屋根材として使おう

日本で伝統的に使われてきた屋根材、和瓦。京都や奈良をはじめとした、歴史ある景観を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。和風建築だけではなく、現代のさまざまな住宅スタイルにあわせて、和瓦も改良を続けられています。

初期費用は高いですが、メンテナンスが必要な場面が少ないのが和瓦の大きなメリットです。耐久性や断熱性、遮音性が高くて、なにより日本の街並みに溶け込む屋根材を、ぜひお住いに取り入れてみてください。

 

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