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【おしゃれな屋根】洋瓦とは?種類・メリット・デメリット・メンテナンスと費用を解説

洋瓦はおしゃれな美観で地中海を思わせる憧れを抱かせてくれますね。
瓦は和瓦と同様に洋瓦も魅力ある屋根で、そこに住む人の個性を表現します。
そこで洋瓦のメリットとデメリット、メンテナンスや費用などについてご紹介し、洋瓦について具体的に身近に知っていただきたいと願っています。
これから洋瓦を検討しておられる方には必見の記事ですので、どうぞ最後まで読んで参考にしていただければ幸いです。

洋瓦とは?

洋瓦の特徴はなんといってもカラーバリエーションが豊かでおしゃれなことです。
そのため色彩豊かでオリジナリティのある美観を演出するため洋瓦が使われたり、デザイナーズのような建造物に使用されることが多い屋根材です。
そして洋瓦も高温で粘土を焼き付けて色を付けているため、塗装メンテナンスは不要なものの、瓦以外の屋根材(下地など)でメンテナンスが必要となります。

洋瓦の素材

洋瓦の素材は3つに分類されます。
粘土瓦:粘土を1000℃以上の高温で焼き上げたもの。
粘土瓦の耐久性は高く50年~100年ほど持つものがあるほどの丈夫さを誇ります。また防水性にも断熱性、通気性にも優れた一面があります。
この記事では洋瓦と呼ぶ場合は、この粘土瓦のことを指して説明していきます。

セメント瓦:セメント、水、砂で成型したもの。
セメント瓦と洋瓦の見た目は似ているものの、耐久性に問題があり、塗装メンテンナスが必須です。

金属瓦:ガルバリウムやステンレスなどの金属でできたもの。
金属瓦は、メンテンナンス費用も安く機能性にも優れ、見た目も洋瓦調の美しい金属屋根もあることから、近年人気が高くなっています。

洋瓦の重さとサイズ

陶器洋瓦の一枚当たりの重さは3.6キロです。
後述しますが、洋瓦にはS形瓦とF形瓦があり、S形瓦は縦横がともに31㎝で1坪につき49枚使用されます。なおF形瓦は40枚使用されています。
そして1坪あたりの総重量は屋根材の下地や合板なども含めると148キロになります。

ちなみに和形瓦は、1枚あたり約2.7キロで1坪に53枚使用され、他の屋根材も含めると総重量は約231キロと重いです。

洋瓦の勾配

瓦の勾配は指定されており、4寸勾配(約122mm・約21.8゜)が最低勾配です。
そして、洋瓦の場合はそれ以上の急勾配の三角屋根のような急勾配のものも見受けられます。
しかし勾配が急ですと、水はけは良くなるのですが、風邪当たりは強くなり、強風や台風の際に注意を要する点です
また工事やメンテンナンスで工事に危険が伴ったり手間がかかったりするため費用が高くなる傾向があります。ですから勾配が急なのは難点といえるでしょう。

洋瓦の種類

洋瓦の形状の種類には下記の3つがあります。

・F形瓦(平板瓦)
・S形瓦(スパニッシュ瓦)
・混ぜ葺き仕様

それでは下記で詳しく説明します。

F形瓦

F形瓦(平板瓦)は、フラットで平らな形状の瓦です
「Flat」の頭文字をとって「F型」と呼ばれるようになった説と、明治時代の初期にフランス人により国内製造されたためフランスの「F]を取ったという説があります。
現在洋瓦では、最も出荷量が多く採用されている瓦です。
洋風にも和風住宅にも順応し、平たい形状から太陽光パネルも設置しやすいメリットがあります。
施工も比較的簡単なため、短期間で屋根工事を済ませたい人におすすめの屋根材といえるでしょう。


<出典:瓦WEB

S形瓦

S形瓦は、デコボコが大きくS字形に波打つデザインが印象的な瓦です。
「スパニッシュ=Spanish」の頭文字をとった「S」が由来であり、大正時代に伝わった瓦で立体感や高級感があり、現在も洋風建築を代表しているといっていいでしょう。
また、S形瓦はS形になった部分が空間になり、通気性の良さが保たれ保温効果も得られ機能性の高さを発揮します
そしてS形瓦は、施工の難易度も高く工期や費用もかかりますが、地中海リゾートを思わせるような魅力的でお洒落な外観は、高級感と個性を大切にされる方に人気となっています。

<出典:瓦WEB

混ぜ葺き仕様

混ぜ葺き仕様は、焼き付けの際に出てしまう色ムラを、あえて複数の色を焼き付けし、自然な色ムラのグラデーションになるよう工夫された瓦です。
これで経年による色ムラも対処でき、意図的にデザインしたような印象に変え、個性的で深い味わいが特徴です。
ただ、一つのカラーで統一しないで複数の色を混合する分、屋根に表情が出てくるのですが、単調でも派手でもないようにカラー比率の調整が難しい面があります。
しかし瓦を葺くときに、数種類の色の洋瓦を混ぜて葺くより失敗が少なくて済む点はメリットです。
そして混ぜ葺き仕様は、焼き付けの段階で数種の色を簡単に混ぜられるため、出来栄えも立体感のある個性的なものになります。
ですから南欧風のおしゃれな屋根がお好みの方に適している、おすすめの瓦といえるでしょう。


混ぜ葺き仕様

<出典:リショップナビ

洋瓦と和瓦との違い

主原料が「粘土」という点は、和瓦も洋瓦も同じです。
両方とも1100℃以上の高温で焼き、その後「和瓦」は「釉薬」を塗りますが、
「洋瓦」は素焼きのままという違いがあります。

そして両者を決定づける大きな違いは、見た目や形状といっていいでしょう
和瓦は「Japanese」の頭文字をとった「J形瓦」が代表的で、緩やかな曲線を描き、銀色やいぶし色など色合いは落ち着いており、風格や重厚感を感じさせられます。
それに対し「洋瓦」はデコボコがとした表面で丸みを帯び、オレンジなどの明るい色彩がありカラーバリエーションが豊かです。南欧風住宅にみられるお洒落で華やかさがあり、住む人のオリジナリティが溢れ人目を引くことでしょう。

なお和瓦の伝統ある特徴については下記の記事を参考にしてください。

【日本の粋】和瓦とは?種類とメンテナンス費用も解説

洋瓦のメリット

洋瓦のメリットにはどのような点があるでしょうか?下記の4つの点について説明します。

耐久性が高い
色の選択肢が多くデザイン性が高い
通気性と断熱性が高い
防水性が高い

耐久性が高い

瓦の良さは耐久性の高く寿命が長い点です寿命は50年以上と長く持ちます
他の多くの屋根材は、瓦が水を吸水してしまうため防水性を保つために数年周期で塗装メンテナンスが必須ですが、洋瓦には塗装が必要ありません
また環境からくる影響に強く、色落ちなどがないため外観の美しさを長期間保てます。
ですから最初の施工時は高くつきますが、維持コストの安さを考え長期的にみるとお得といえるでしょう。

色の選択肢が多くデザイン性が高い

洋瓦は、オレンジやグリーンなどカラフルで、色のバリエーションが豊富なことも大きなメリットといえます
和瓦にも色合いの豊かなものもありますが、洋瓦のように自由で洗練され個性が強調されたものは少ないです。
やはり和瓦の雰囲気は、重厚感のある銀色やいぶし色、黒などで、日本の伝統を感じさせるのが良さといえるでしょう。

それに対し、洋瓦は明るく柔らかい印象にできるのでおしゃれを楽しむ人には最適といえます。
また洋瓦は施工の際の並べ方によってもデザイン性の高さが生まれます
たとえば、ひとつのカラーでも焼き上げの段階で、自然に色が変わってくることがあり、それを屋根に並べていく過程で自然なグラデーションが帯びてくるのです。
施工する人の技量も問われるのですが、二つとない味わいのある印象の屋根に仕上げられます。

通気性と断熱性が高い

洋瓦でも特にS形瓦は、山と谷の凹凸のある形状のため通気性の良さが際立ちます。
つまり瓦と屋根板の間に空間を生じさせ、空気の流れがおこり、湿気をうまく逃してくれるのです
そうした通気性の良さは、屋根板も傷みにくく建物を劣化させる悪い影響を抑えます。

さらに形状の立体感が生じる空気層は、熱や冷気のワンクッションの役目を果たし、屋根裏に伝わりにくくさせます
そうした断熱効果は、夏の暑さを快適に過ごせ、冬の寒さからも守るメリットがあります。

防水性が高い

洋瓦は、吸水性が乏しい素材で、形状も雨水が落ちやすくできているため防水性は高いです。
その上、劣化しにくく耐久性に富んでいることで耐水性も長く持続できます。
台風や梅雨の長雨が続く季節がある日本には適した屋根材といえるでしょう。

洋瓦のデメリット

洋瓦には優れたメリットもありますが、主なデメリットとして下記の点も考慮にいれて検討する必要があります。

・施工費用が高い傾向にある
・重量がある
・廃版が多い。

施工費用が高い傾向にある

洋瓦のF形瓦は工期も短く施工も比較的簡単なのですが、S形瓦の場合は施工時に熟練した知識と技術が必要で手間もかかるため、費用は高めになります
ですが、他の屋根材は、塗装メンテナンスが必要になり、その際足場代などの費用もかかることを考えると維持コストの面で高くついてしまいます。
洋瓦の場合は初期の施工費用は高めでも、色落ちによる塗装が不要な分、長い目でトータルして考えれば安くつく場合もあるため、維持コストも忘れずに検討する必要があります。

重量がある

屋根の重量は地震の揺れに大きく関係しています。
しかし建物の倒壊は屋根の重量によって決まるわけではないことは、最近の研究結果で示されています。つまり住宅の耐震性能は、骨組みや構造が躯体の強さに大きく関わっているのです。瓦屋根の耐震性を知る

ですが、屋根材が軽い方が地震の揺れには強いので、近年では軽くて機能性も高い金属瓦が注目を集めています。

廃版が多い

洋瓦は10年~20年単位でデザインが変わることが多く廃版になってしまうデメリットがあります。
洋瓦は寿命が長いのですが、強風で瓦が破損した場合に、同じ製品で修理したくても、すでに廃版になって手に入らなくて困る事態に陥ります。
ですから、施工する際には、あらかじめ10個ほど余分にストックしてもらうよう対策するほうがいいでしょう。

洋瓦のメンテンナスと費用

洋瓦のメンテナンスは、塗装の必要こそありませんが、葺き直しや瓦の交換、漆喰の補修などがあり費用もさまざまです。

洋瓦のメンテナンス

主に下記の4つの項目があります。

漆喰の補修:瓦のずれや落下の防止
瓦の部分的な交換:破損や劣化のある瓦だけを取り外し、新しい瓦と入れ替える
葺き直し:瓦を取り除けて下の屋根材や防水シートを修理し、元の瓦を葺き直す
葺き替え:古くなった屋根瓦を撤去し、新しい屋根材と入れ替える

漆喰の補修と葺き直しについて補足します。
漆喰の補修
洋瓦では、和瓦と比較して屋根の漆喰部分がはがれることがよく見られます。
漆喰が剥がれると、内部の土が露出してきて、台風などの強風で瓦が外れて飛んだり落ちてしまいます
建物が古くなるとこうした漆喰の劣化が生じるので注意しましょう。

葺き直し
瓦に歪みや破損が見つかった場合、少しであっても防水シートに劣化が見られないか確認し、見つかった場合は早めに修理することで、雨漏りや屋根が崩れるのを防ぎます。

メンテンナンスの時期

寿命の長い屋根材でも、築年数が20年以上経つとトラブルは生じやすいです。
また瓦屋根を美しく長持ちさせるためにも、年1回ペースで瓦屋根が得意な業者に点検を依頼するのがベストでしょう。
なお、してはならないのは素人点検です。高い位置にある屋根で細かい点検は危険で素人目では分かりにくいです。
信頼できる業者が見つかりにくい時には遠慮なく弊社へご相談ください

洋瓦のメンテンナス費用

棟瓦の修理費用

棟瓦のずれや外れの場合は、棟瓦の積み替え、積み直し、そして漆喰のやり直し修理を行います
漆喰は棟の両側に施されており、補修費は棟の長さ×2かかります。

つまり棟瓦の修理にかかる費用の目安は、1mにつき8,500~19,000円程度です。
ですから棟の段数が多いほど費用が高くなり、屋根の勾配が急な時も価格が高くなります。
なお見積書で確認しておくべきこととして、漆喰の補修費が含まれたものか別途発生するのかをしっかりと聞いておきましょう。
見積書に漆喰修理が含まれているものと思い込むのは厳禁です。

漆喰のみの補修費用

屋根の漆喰だけの修理の場合は、1mにつき約2,200~7,000円です
漆喰の総額として5~7万円で済む場合もあるのですが、足場が必要になる場合は思ったより高額になり注意が必要です

通常、漆喰補修だけでなく、同時に棟瓦の修理や取り直しをした方が効率的なことが多いので、信頼できる業者と相談して内容を決めるようにしましょう。

葺き替え費用

洋瓦の葺き替え費用の相場は、8,000~20,000円/㎡程度です。
もし葺き替え費用が15,000円/㎡で、施工面積が100㎡と仮定すると、全体費用は150万円かかる計算になります。
前述しましたが、洋瓦の形状でF形瓦(平板瓦)は施工が簡単なため費用は安く済み、S形瓦は施工に熟練を要するため高くなりやすい傾向です。

洋瓦のまとめ

洋瓦はデザイン性とカラフルさで優しくかわいらしい印象を与えてくれる屋根材です。
同じ素材でも和瓦の持つ重厚感や品格とは、まるで異なるイメージを作り上げています。
洋瓦を最初に施工する際には、高めの施工費がかかることで躊躇されがちですが、塗装メンテナンスがいらないことや寿命の長さを考慮すると、長い目で見た場合は安価で済むこともご理解いただけたのではないでしょうか。
また通気性や断熱性に富み、夏は涼しく冬は暖かい居住空間をもたらしくれるので、日本の風土にあった瓦といえるでしょう。
デメリットの一つに廃版になりやすいことがありましたが、施工時に余分に取り分けておくことで解決できる問題です。
さらに重さも建物の躯体を屋根の重量に合わせて丈夫なつくりにすることで、この地震大国の日本でも十分乗り越えられるでしょう。
また信頼できる業者選びは重要で、メンテナンスも定期的に任せることで長持ちし安全快適に過ごすのに必須です。

見積、点検、相談無料の当店は20年以上の実績を積み信頼を得て喜ばれています。

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