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セメント瓦の種類と特徴またメンテナンスと費用を解説

屋根材にはさまざまなものがあります。ではセメント瓦と呼ばれるものには、どんな種類があるでしょうか?

またセメント瓦には、現在廃盤となったものもあれば、今でも人気を博し普及されているものもあります。

この記事はセメント瓦の種類をご紹介し、それぞれのメリットやデメリットを解説していきたいと思います。

またメンテナンス費用や葺き替え相場費用にも触れていますので、セメント瓦について検討されている方の視野を広げるための情報元となりますことを願っています。

セメント瓦の種類

  • プレスセメント瓦(セメント瓦)
  • コンクリート瓦
  • 乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)
  • スレート瓦

セメント瓦の種類には、上記の4種類があります。

それぞれの特徴を紹介していきます。

プレスセメント瓦(セメント瓦)の特徴

プレスセメント瓦はセメント瓦のことです。
セメント瓦は、セメントと川砂を混ぜて成形し、圧力をかけて固められますが、圧力でプレスされることで密度が濃くなり強度をつけます。

厚みは1cmほどあり、厚形スレート瓦という別名を持ち、施工しやすい瓦でプレスされて成形された後、耐久性を高めるため塗料によって着色され美しい瓦が仕上がります。

日本では主に四国地方や九州地方で用いられている瓦です。

またセメント瓦は1970年代から80年代の高度成長期の住宅不足で、屋根材の陶器瓦の生産が間に合わなくなった時、安く製造できたセメント瓦が陶器瓦と似ていることで代替品として普及しました。
近年では、さらに安く製造されるスレート瓦や金属屋根が主流となっており、セメント瓦は割れやすさと重さのため使用頻度は減少しています。

ですが、セメント瓦の多様なデザイン性と成形の際の精度の良さや耐火性の高さゆえに、使用される場合もあります。

またセメント瓦は、防水性はないため塗装で補う必要があり、衝撃にも弱いことから定期的なメンテナンスは必須なことが弱点です。

そして、40~50年の耐久性もあることから、大事に維持され今も愛用されている瓦といえるでしょう。

コンクリート瓦の特徴

コンクリート瓦は、その名の通りコンクリートでできており、主成分はモルタルと少な目のセメントが配合されています。
形状は平らな長方形がほとんどで、屋根瓦にするとスッキリとシャープな印象に仕上がります。しかし現在では用いられることがなく製造されなくなりました。

乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)の特徴

乾式コンクリート瓦はモニエル瓦のことです。そのほかにスカンジアやパラマウントという呼び名を持っています。

モニエル瓦はセメントと砂利で配合されているため、表面がデコボコしています。
そしてセメント瓦に防水性を施すために、瓦の上に着色スラリーという塗膜を厚く塗って塗装されています。

この着色スラリーが塗替えメンテナンスの際に厄介で、高圧洗浄で完全に除去しなければ、上から塗装しても剥がれてしまう難点があるのです。
しかしモニエル瓦は色彩豊かで人気を博していましたが、2010年に輸入元が日本から撤退し、製造販売されなくなり廃盤となってしまいました。

残念ながら在庫もほとんどなく入手困難ですが、耐久性の良さから今でもメンテナンスを施し、長持ちさせておられる方もいる瓦です。

モニエル瓦のメリット・デメリット

モニエル瓦のメリットは、遮断性や防音性に優れているため暑い日差しや雨音を防いでくれます。
また、着色スラリーで色彩バリエーションが高くデザイン性にも富んでおり、耐用年数の長さは40~50年と長く、メンテナンスさえきちんと行えば、今でも現役で使用されているほどです。

デメリットとして、カビやコケ、色あせ、欠けなどが生じやすい点ですが、こうしたデメリットは定期的なメンテナンスで補えます。

モニエル瓦の詳細な情報は下記からご覧ください。

モニエル瓦とは?長持ちの秘訣は塗装!注意点と費用も解説

スレート瓦の特徴

スレート瓦は、セメントとパルプといった繊維などを混ぜ、高温で加熱し高圧で成型した後、防水処理として塗装をした瓦です。別名コロニアルともいい、この名は広く普及した商品名がそのまま瓦の名前となっています。

スレート瓦は、厚みは薄くスマートフォンほどですが、通常のセメント瓦は1センチ以上と厚いものです。
またスレート瓦はセメント瓦より価格も安くメンテンナンスも容易なことで、現在最も使用され普及されている屋根材です。

過去2006年まではアスベストが使用されていた時期がありますが、現在はまったく使用されていないので安心できます。

スレート瓦のメリット・デメリット

スレート瓦のメリットは、価格の安さと施工のしやすさです。また色彩や形状のデザインも豊かおしゃれな外観に仕上がります。

また軽量なため地震の揺れに強く、そして高い普及率から施工できる業者がたくさんあり、業者の比較検討ができることはメリットです。

しかしデメリットとして、厚みが薄いことでひびが入りやすく、剝がれやすいため、雨漏りの心配があります。

そしてセメント瓦すべてに言えるデメリットとして、塗装メンテナンスが必要とされていることでしょう。

下記ではスレート瓦が普及している魅力について紹介されていますのでご覧ください。

スレート瓦とは?メリット・デメリット・メンテナンスと費用を解説

セメント瓦のメリット

セメント瓦は現在普及率は低いですが、メリットとして下記の2つの点があげられます。

  1. 耐久性・耐火性に優れている
  2. デザイン性が豊富

耐久性・耐火性に優れている

セメント瓦の耐久年数は約30~40年で、屋根材の中でも寿命は長い方です。
それはセメント瓦自体に厚みがあり固く頑丈な素材でできているからです。

さらに耐火性があります。
原材料がセメントと川砂でできた燃えにくい「不燃材料」で建築基準法にも適合しているほど火に強い素材でできており、火事の際には燃え広がりを抑えてくれるので、大きなメリットといえます。

オレンジ色の屋根

色やデザイン性が豊富

セメント瓦は形状のデザイン性や色彩が豊かです。

それはセメント瓦を製造する工程で、高温で焼き上げる前に材料を型枠に入れるからです。この型枠に入れる工程で、和風だけでなく洋風なデザインにも仕上げられるのです。

また表面を塗装する工程によって、カラーバリエーションが豊富な瓦になります。

デザイン性と色が豊富なことで、自分のオリジナリティに合ったおしゃれなセメント瓦が選択できるのも大きなメリットといえるのではないでしょうか。

セメント瓦のデメリット

セメント瓦のデメリットとして、下記の2点があげられます。

  1. 衝撃に弱くヒビ割れしやすい
  2. 定期的な塗装メンテナンスが必要

上記の点を詳しく解説します。

衝撃に弱くヒビ割れしやすい

セメント瓦は、硬い材質のため柔軟性に欠けるため衝撃に弱いです。

ですから台風や強風の後には、飛来物が瓦を直撃して瓦が損傷していないか確認することをおすすめします。

またセメント瓦は厚みがあるのですが、それでも劣化は防げず防水性が切れてしまうことがあります。

すると雨水を吸ってしまい膨張し、乾くと収縮するを繰り返すという負荷がかかりますと、やがてセメント瓦はひび割れをおこします。

そのまま放置すると雨水が屋根の内部まで侵入し雨漏りまで発展してしまうと大変なことになります。

なぜなら、雨漏りは家全体を傷めてしまうことになります。ですからもし、ひび割れを発見したら早期に対策を講じ、交換や補修をするようにしましょう。

定期的な塗装メンテナンスが必要

セメント瓦の主成分であるセメントは、水を吸収してしまう性質をもっているため、防水性を強化するため定期的な塗装メンテナンスが必要になります。

また屋根瓦は長期にわたって紫外線や風雨に晒されることで劣化し、前の項目でも触れましたが、防水性能が低下してくることも考慮に入れておきましょう。

そして塗膜の劣化は約10年ほどでおきてきますから、定期的な点検や塗装も10年に1度のペースを目安に行うのがベストです。

セメント瓦の寿命は30年~40年とされていますが、寿命が来る前に何度も塗り直さなければならないことは、費用もかかりデメリットと言えますね。

メンテナンスが必要になるタイミング

セメント瓦を塗装するタイミングは、主に以下の3つです。

  1. 塗膜の剥がれ
  2. 色褪せ
  3. コケやカビの発生

下記にその点を説明しますので、本来の寿命を維持するためにも、メンテンナンスタイミングを見逃さないようにしましょう。

1.塗膜の剥がれ

セメント瓦は紫外線や風雨による経年劣化で、瓦の塗装が剥がれて本来の美しさを台無しにします。

塗装の塗膜が劣化を起こすと、セメント瓦の防水性も損ない、水を吸い込むことでセメントの成分のカルシウムが流れ出す現象が生じます。

そうなると瓦の表面もザラザラとしてきて骨材がむき出しになり、ちょっとした衝撃でも割れやすくなりますので、塗装の剥がれを見つけたら早期に塗装メンテンナスを施しましょう。

2.色褪せ

屋根は風雨や紫外線に直に影響を受けるため、前述した剥がれとともに、経年劣化でセメント瓦の塗装表面に色あせが生じてきます。

この色あせは、セメント瓦にとってはメンテナンスの大きなサインとなります。

なぜなら瓦の耐久性を落とす大きな原因にとなるからです。つまり防水機能も低下しひび割れを起こしかけている兆候とみなせるのです。

色あせが酷くなると雨漏りの原因に繋がることもあり、早急に塗装するようにしてください。

コケとカビができた屋根

3.コケやカビの発生

セメント瓦にほぼ共通していえることですが、防水性が切れることが原因で様々なトラブルの引き金になっています。

コケやカビの発生もその一つで、水を含んだセメント瓦に付着して瓦を劣化させる原因になります。

コケなどをそのまま放置すると、瓦の内部に根を張り瓦をもろくしてしまいますので、洗浄して洗い流したあと塗装メンテナンスをしてください。

 

セメント瓦の塗装費用相場

セメント瓦の塗装の塗料は、シリコン塗料やフッ素塗料を使用するのが一般的となっています。

費用相場は下記の通りです。

  • シリコン塗料・・・3,000円/㎡
  • フッ素塗料・・・4,000円/㎡

セメント瓦の葺き替え費用

高度成長期によく普及されてきたことや、定期的なメンテナンスで長持ちさせてこられた方も、耐用年数が超えていたり近くなっている方もおられることでしょう。

そうした場合は、新しい葺き替えを検討されるケースも多いのではないでしょうか。

葺き替えを検討されている方に、2つの屋根材の葺き替え費用を参照してください。

セメント瓦か新しく別の瓦に葺き替える場合、屋根70㎡とすると屋根材と相場費用は下記になります。

  • ガルバリウム鋼板・・・130~200万円
  • スレート瓦・・・100140万円
    上記が目安です。

セメント瓦のまとめ

セメント瓦には4つの種類があり、現在コンクリート瓦やモニエル瓦は現在ほどんど使用されていません。

しかしその中でもスレート瓦は現在でも広く普及している屋根瓦と言えます。

そしてプレスセメント瓦といわれるセメント瓦の持つ、メリットやデメリットについて解説してきました。

セメント瓦のデザイン性や色彩に富んでいるメリットは、個性的でおしゃれな外観を希望される方に人気があります。

ですがセメント瓦は吸水性があるため、塗料によって防水機能を持たせる必要があり、定期的な塗装メンテナンスが必須というデメリットを十分考慮して検討しなければならない瓦です。

セメント瓦は1970年代から80年代に多く普及し、耐久年数が30年~40年と長いので、塗装メンテナンスを行いながら今でも長持ちし愛用されている場合もありますが、一方で耐久年数を超えてしまっていることもあり葺き替えを検討されている方もおられることでしょう。

この記事はメンテナンス費用の相場と葺き替え費用の相場もご紹介してきています。

この記事を通じて、セメント瓦の特徴を再認識し参考としていただければ幸いです。

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