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瓦屋根メンテナンス

瓦屋根のメンテナンス方法!屋根の専門家がわかりやすく徹底解説

屋根材のなかでも寿命の長いことが特徴とされる瓦屋根。

寿命が長いということは、瓦屋根はまったくメンテナンスがいらないのでしょうか。

ついおろそかになりがちな瓦屋根の点検ですが、やはり風雨や紫外線にさらされている環境下ではメンテナンスが必要です。

今回はそんな瓦屋根のメンテナンス方法について、屋根の専門家がわかりやすく解説していきましょう。

屋根に使う瓦とは

瓦屋根にはさまざまな種類があります。

そのなかで、一般的な住宅の屋根に使用する瓦は「粘土瓦」です。

粘土瓦は

  1. 粘土を瓦の形に圧縮・成形
  2. 乾燥
  3. 1,000~1,250℃くらいの高温で焼成

という工程を通して作られます。

また粘土瓦には、釉薬を使って仕上げる「釉薬瓦」と、釉薬を使わない「いぶし瓦」の2種類があります。

釉薬瓦(陶器瓦)

表面をガラス質の釉薬で仕上げた釉薬瓦は、コーティングされた状態のため雨水が浸透しません。また、釉薬によってさまざまな色の瓦に仕上げられるのが魅力です。

釉薬瓦には、和風建築に合うJ形(和形)だけではなく、洋風の住宅にも似合うF形(平板)、S形があって住宅の外観スタイルに合わせて使い分けられています。

無釉薬瓦(いぶし瓦)

釉薬を使用しないで作られるいぶし瓦は、釉薬瓦と焼き方が異なります。焼成する際に「むし焼き」にするのがいぶし瓦の特徴です。

「むし焼き」にする工程を経て、いぶし瓦の表面には炭素膜が形成され、瓦の裏表が渋い銀色となります。

いぶし瓦特有の色やデザインは、和風建築との相性が良く、京都や奈良などの歴史的な建築物にも使用されています。

他にもセメント系の瓦やスレート瓦を瓦屋根とすることもありますが、今回の記事では、粘土瓦のメンテナンス方法についてくわしく解説していきましょう。

瓦屋根の劣化症状

一般的な住宅の屋根に使う瓦は主に粘土瓦です。粘土瓦を用いた屋根はメンテナンスフリーといわれることもあります。

たしかに粘土瓦は耐久性が高く、約50年は劣化しないと考えられています。

しかし住宅の屋根は、瓦だけで成り立っているわけではありません。その他の部分や粘土瓦自体の劣化について見ていきましょう。

漆喰と棟瓦の土台の劣化

現在でも、富山県においては棟瓦を葺き土によって固定されている住宅が多いです。

棟瓦とは、瓦屋根の頂上に位置する瓦を指します。雨漏りにつながる棟に瓦を設置することで、雨漏りを予防する働きがあります。

寿命が50年といわれる粘土瓦と比べると、葺き土や漆喰の寿命は10年程度と短いです。

早めに葺き土や漆喰をメンテナンスすることで、棟瓦のゆがみやずれへの進行を予防できます。

この棟瓦を支えている葺き土の劣化を放置してしまうと棟瓦が傾き、屋根の下地材へ雨水の浸入を許してしまいかねません。

そのため、瓦自体の耐久性が高いといえども、定期的な棟瓦の点検が必要です。

また、瓦屋根の化粧材として用いられる漆喰も、10年を目途として補修しておくと安心です。

繰り返しになりますが、粘土瓦の耐久性は50年以上あります。

しかし、その周りを納めている葺き土や漆喰のメンテナンスをおろそかにすることで、住宅内部への雨水の浸入を許してしまいます。

そうすると、瓦屋根だからと安心して点検を行わないことが原因となり、大規模な補修が必要となってしまう可能性が高くなるでしょう。

割れや欠け

粘土瓦は耐久性に優れていますが、昨今の異常気象に対応できているかといえば難しいといえます。

ゲリラ的な豪雨や台風以外でも、突発的な暴風が北陸地方を襲う事例が増加している傾向にあります。

そのため、粘土瓦に飛来物が強く当たる、アンテナなどが倒れるなどして、外部からの衝撃により瓦に割れや欠けが生じてしまうケースへの注意が必要です。

台風や暴風のあとには、直接被害を感じていない場合でも瓦屋根を点検してもらうことをおすすめします。

瓦の割れや欠けなどのメンテナンスが必要な箇所が症状が少ないうちに発見されれば、屋根の補修費用が少なくてすむでしょう。

ずれや欠落

粘土瓦は、1枚ずつかみ合わせながら葺いていく工法が主流です。そのため施工後ある程度の年数であれば、普通の状態では瓦の「ずれや欠落」は起こりにくいと考えられます。

しかし、地震や台風などで瓦がぶつかり合う機会が多い場合は、瓦の角が丸くなってしまうとともにずれてしまうケースがあります。

瓦がずれた部分や欠落した箇所から水が浸入することで、屋根の下地材の腐食へつながります。

下地材の腐食をそのまま放置すれば、住宅内への雨漏りまで引き起こしてしまうでしょう。

屋根の下地材が腐食すると、大規模で高額な補修工事が必要となります。

また、瓦のずれを放置していたために、台風まで至らない強風でも瓦の欠落へつながる危険があります。

瓦屋根の下地材まで水の浸入を許さないためにも、気象現象による被害や、経年劣化の症状を専門業者に点検してもらうことをおすすめします。

 

瓦屋根のメンテナンス方法

素材自体の耐久性はとても強い瓦屋根ですが、屋根の定期的なメンテナンスは必要です。

瓦屋根の補修が必要となった場合の、具体的なメンテナンス方法について解説していきます。

瓦屋根の葺き替え

屋根の葺き替えとは、既存の屋根を解体・撤去したうえで野地板、防水シートなどの下地と屋根材も新しくする工事を指します。

粘土瓦は非常に耐久性が強い屋根材です。だからといってメンテナンスをおろそかにしていると、住宅内部へ雨水が浸入して雨漏りを起こします。

瓦屋根の下地には、防水シート、そして住宅の小屋組(構造部分)のうえに張られた野地板(のじいた)が設置されています。

防水シートの寿命は15~20年といわれており、定期的にメンテナンスを怠っていれば、雨漏りの危険性や野地板の腐食につながっている可能性が高いといえます。

また、いぶし瓦は釉薬瓦と比較すると寿命は30~40年と10年程度短いです。

定期的なメンテナンスをしていなければ、屋根材自体が劣化して下地材への水の浸入を許してしまうおそれがあります。

瓦屋根を葺き替える場合には、瓦以外の屋根材への交換も検討してみましょう。

スレート屋根やガルバリウム屋根は設置する費用が安くすみ、屋根の重量が軽くなるために住宅本体の耐震性を高められると注目されています。

他の屋根材にも、メリット・デメリットがあるため、屋根を専門とする業者へ相談することをおすすめします。

瓦屋根の葺き直し

野地板やルーフィング(防水シート)を交換・補修したうえで、現在の屋根瓦を再利用することを、「葺き直し」といいます。

定期的なメンテナンスを行っていても、屋根の下地材は15~20年で寿命を迎えるといわれています。屋根の下地材は、瓦を下ろしたときでなければ点検できません。

見える場所だけではなく、目が行き届かない場所の点検を行い、葺き直しすることで瓦屋根を再利用してコストを抑えることができます。

屋根を葺き直した場合は、住宅の外観はほぼ元通りに仕上がります。また、廃棄物を出さないため、環境にも配慮したエコロジーで経済的な補修方法といえるでしょう。

瓦屋根の部分修理

瓦屋根の異常に早めに気づくことで、部分的な修理ですむというメリットがあります。

屋根の葺き替えや葺き直しは工事費用が高額で、工期も長くかかります。

台風や強風などによる飛来物によるずれや欠けの可能性を感じたときには、放置せずに瓦屋根を専門業者に点検してもらいましょう。

異常がある部分の瓦の差し替えや、ずれてしまった瓦の並び戻しなどの部分修理は、他のメンテナンス方法と比べると安くすみます。

部分修理の際に、棟瓦や防水シート、下地材の状態も含めて点検してもらえば、瓦屋根の住まいでの安心した暮らしにつながります。

まとめ

瓦屋根は長持ちするからメンテナンスは不要では?と考えている方は少なくありません。

たしかに粘土瓦自体は耐久性がとても高く、50年以上寿命があるといわれています。

一方で、瓦屋根の一部である、防水シートや野地板、漆喰や葺き土は定期的なメンテナンスが必要です。

特に屋根の下地となる防水シートや野地板の傷みは、瓦を取り外さなければ見つけにくいものです。

また、漆喰や葺き土のメンテナンスを怠ることによって、棟瓦の土台が劣化が進んでしまいます。

強風や台風に見舞われた後など異常を感じたときはもちろん、こまめな点検を行い劣化症状を早めに見つけることによって、より的確な瓦屋根の補修を行えます。

瓦屋根を定期的にメンテナンスすれば、他の屋根材以上に長期間にわたって住まいを守ってくれるでしょう。

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