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家を守る屋根の寿命とは?屋根材の種類や劣化症状ごとに解説

大切な家を風雨や紫外線から守ってくれる屋根。

そんな重要な屋根の寿命とは、いったいどのくらいなのでしょうか。

また、どうすれば屋根の寿命を延ばすことができるのでしょうか。

そこで、今回の記事ではそんな疑問にお答えするため、屋根の劣化症状や屋根材別の寿命について解説しています。

屋根材の寿命とは

屋根は、時には過酷な気象条件や日照から住宅を守るという大きな役割があります。

また、屋根材にはさまざまな種類があり、種類によって寿命やメンテナンスの頻度も異なります。

そこで、まずは屋根材が寿命に近づいている場合のサインについて解説していきましょう。

屋根材の寿命を見極める

屋根材の寿命にもっともかかわるのは、防水性能の低下です。

屋根材の防水性能が低下することで、住宅本体へ水の侵入を許してしまい、最終的には建物の寿命を短くしてしまいます。

建物全体への影響を最小限にするためには、屋根材の寿命を見極めることが重要です。

それでは、どのような点に注目して屋根材の寿命を判断すればいいのかについて解説していきます。

■苔や藻、カビが見られる

屋根材のわかりやすい劣化症状の一つに、表面に苔や藻、カビが繁殖することがあげられます。

特にスレート屋根などのセメント系の屋根材に多く見られる症状で、屋根材の表面塗膜の劣化が原因です。

いったん繁殖し始めた苔や藻、カビは、それ自体が水分を含んで屋根材の防水性を低下させてしまうため、注意が必要です。

■ひび割れや欠け

屋根材のなかでも寿命が長い和瓦(陶器瓦)であっても、強風や暴風などにさらされると飛来物の衝撃でひび割れや欠けが生じることもあります。

また、モニエル瓦によく見られる劣化症状として、表面の「スラリー層」が紫外線などによって劣化し、水を吸収しやすくなることがあげられます。

屋根材が水を吸収すると膨張し、乾燥すれば収縮することで、ひび割れや欠けにつながります。

そうなると、屋根材の防水性能が著しく低下して、建物本体への雨水の浸入を許してしまうのです。

■色褪せや錆び

ガルバリウム鋼板屋根を代表とする金属屋根では、屋根材の寿命が近くなると色褪せや錆びがところどころで見られるようになるのが目安です。

アルミと亜鉛そして鉄からなる耐久性に優れたガルバリウム鋼板屋根ですが、やはり表面の塗膜が劣化すると見映えも悪くなり、耐久性にも問題が生じます。

錆びや色褪せから苔や藻、カビの発生につながる前に対処することがおすすめです。

■雨漏り

屋根の寿命は屋根材だけで決まるわけではありません。

屋根材の下地材である、防水シート(アスファルトルーフィング)や、屋根をのせる野地板と呼ばれる部材にもそれぞれ寿命があります。

屋根材のメンテナンス時期を逃してしまうと、下地材まで劣化が進み、最悪の場合雨漏りにつながります。

屋根材を一部外して点検することで、下地材の劣化状態を知ることができるため、定期的な専門業者の点検が重要だといえるでしょう。

主な屋根材ごとの寿命について

ひとくちに屋根と言っても、屋根の寿命は屋根材の種類によって大きく異なります。

主な屋根材ごとの特徴や寿命、メンテナンス方法についてまとめています。

和瓦(陶器瓦・粘土瓦)

粘土瓦の一種である和瓦は、粘土を1,000℃以上の高温で乾燥させて焼き上げています。

スレート屋根などのセメント系屋根材とは異なり、塗装をしなくても雨水がしみ込む心配がないことが大きな特徴です。

万が一、ひび割れや欠けが生じても、一部を差し替える部分補修で対応できます。

和瓦の寿命とメンテナンス

しかし、和瓦の屋根でも傷みやすい箇所があります。

和瓦自体の寿命は50年ともいわれていますが、棟瓦と呼ばれる住宅の一番高い場所に葺かれている瓦は葺き土で支えられ、漆喰で雨水の浸入を防いでいます。

和瓦を葺いてから年月が経つにつれ、葺き土や漆喰の劣化によって棟瓦に歪みがみられてくるのです。

放置すれば屋根全体の歪みにつながりかねないため、定期的な点検と補修が必要です。

スレート屋根

スレート屋根は、現在の日本でもっとも多く使われている屋根材です。

モニエル瓦と同じくセメントを基材としていて、表面の塗膜で防水性能をプラスしています。

初期費用が抑えられる、和瓦と比べて軽量なため耐震性に優れている、施工が簡単といったメリットがあり、非常に人気の屋根材です。

スレート屋根の寿命とメンテナンス

スレート屋根には、現在は健康被害が報告されて使用禁止となっているアスベストが使用されていたという歴史があります。

もちろん、現在流通しているスレート屋根にアスベストは入っていませんが、古くなったスレート屋根が寿命を迎えたときには対応が難しいです。

葺き替える際に必要な廃棄費用が膨らむことから、既存の屋根を取り除かずに上に屋根材を葺く、カバー工法でメンテナンスをするのが主流となっています。

現在のスレート屋根は、10年程度で塗装メンテナンスが必要です。

表面の塗膜が経年劣化すると、苔や藻、カビが生えて、徐々にスレート屋根自体が水を含むようになってしまいます。

その前に適切な塗装メンテナンスをすることで、スレート屋根の寿命を延ばせるでしょう。

ガルバリウム鋼板屋根

ガルバリウム屋根は「メンテナンスフリー」「錆びない金属屋根」と呼ばれることもありますが、芯材として使われているのは鉄です。

その上に亜鉛とアルミのメッキ塗膜で耐久性・防錆性をプラス、さらに下地と表面塗装を施して仕上げている屋根材です。

メッキで加工されているため錆びに強い屋根材ですが、飛来物の衝撃による塗膜の剥がれなどにより、そこからジワジワと錆びが広がるケースも見られます。

ガルバリウム鋼板屋根の寿命とメンテナンス

紫外線による色褪せや、台風・暴風による飛来物のキズは屋根に上がってみないとわかりません。

しかし、素人が屋根に上がるのは非常に危険です。

メンテナンスフリーといわれるガルバリウム鋼板屋根ですが、気になる気象条件の後には専門業者に点検を依頼するのがおすすめです。

小さなキズであれば錆びる前に補修でき、費用も少なくて済みます。

また、ガルバリウム鋼板屋根自体の寿命は40年ともいわれていますが、下地材へビス止めをしている箇所のコーキングの劣化は10年ほどで進むと考えられています。

定期的にメンテナンスすることで、長い間使い続けられる屋根材だといえるでしょう。

モニエル瓦

乾式コンクリート瓦とも呼ばれるモニエル瓦は、2010年に生産を終了していますが、日本の住宅の屋根材としてまだまだ現役で活躍しています。

モニエル瓦の最大の特徴は、基材であるコンクリートの上にスラリー層という着色セメントで色を付け、アクリル樹脂のクリアトップコートで防水性能をプラスしているところです。

そのため、スラリー層の劣化が進行すると、屋根材としての寿命が近づくことになります。

モニエル瓦の寿命とメンテナンス

モニエル瓦はメンテナンスが難しい屋根材の一つです。

その理由としてあげられるのが、先ほどもふれた「スラリー層」の存在です。

セメント系瓦の一般的なメンテナンスは塗装で行われますが、「スラリー層」を残したまま上から塗装してもわずか数年で剥離しかねません。

また、スラリー層を取り除いて塗装メンテナンスをしても、生産が終了している屋根材のため、ひび割れや欠けが見つかったときに同じ製品が見つからない可能性があるのです。

モニエル瓦を葺いてから20年以上経過している場合には、葺き替えによるメンテナンスをおすすめします。

下地材の種類と寿命について

それぞれの屋根材の下には、必ず下地材が入っています。

屋根材によっては、防水シートの寿命のほうが短く早めのメンテナンスが必要です。

防水シート(アスファルトルーフィング)

屋根の防水シートは、アスファルトを紙板にしみ込ませたものや樹脂製のものが使われています。

防水シートは屋根の基礎部分である「野地板」の上に敷かれて、水が屋根材から住宅に浸入することを防いでいるのです。

防水シートの寿命は15年程度とされていることから、和瓦であれば葺き直しの際にルーフィングを交換すれば、屋根全体の寿命が延びると考えられます。

まとめ

屋根の寿命を見誤ると、住宅そのものの傷みは非常に激しくなってしまいます。

屋根は外壁や屋内の設備のように、普段から目にする機会はほとんどありません。

また、ご自身の目で屋根の状態を確かめることは、危険が伴います。

専門業者の定期的な点検を受けることで、住まいを健康に保っていきましょう。

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