
ガルバリウム屋根にメンテナンスは必要?劣化症状と対策を解説
新築戸建てだけでなく、屋根リフォームの際に選ばれることが多いのが、ガルバリウム屋根です。
屋根材の中で特に軽量なこと、丈夫で長持ちする、スタイリッシュな外観をデザインしやすいことが特徴です。
ところで、屋根材を選ぶときに気になることの一つといえば、メンテナンスの必要性でしょう。
そこで今回の記事では、ガルバリウム屋根の特徴とメンテナンスが必要なのかについて解説していきます。
気になる劣化症状やその対策についてもまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
ガルバリウム屋根とは
ガルバリウム屋根とは、ガルバリウム鋼板で作られた金属製の屋根材です。
ガルバリウム鋼板は、鉄をアルミと亜鉛の合金でメッキを施して保護し、下地塗装と表面塗装で仕上げられます。
つまり、ガルバリウム鋼板芯材は鉄で、表面はメッキと塗装の塗膜によって守られた建材です。
メッキで保護された鋼板はさまざまな種類がありますが、ガルバリウムが開発される前は屋根材としてトタンが使用されていました。
トタン屋根はガルバリウム鋼板とは異なり、亜鉛のみでメッキされています。
アルミニウムが加えられてメッキされたガルバリウム鋼板と比較すると劣化が早く、今では金属屋根といえばガルバリウム屋根を指すようになりました。
屋根材を選ぶ際には
- 耐震性
- 耐久性
- 断熱性
- デザイン
- メンテナンス性
- 施工のしやすさ
- 価格
など評価する項目がたくさんあります。
ガルバリウム屋根は軽量なことから、住宅の重心を低く保つことが可能なため耐震性が高くなります。
耐久性も優れており、コストパフォーマンスが良い屋根材として注目を集めています。
ガルバリウム屋根のメンテナンスは必要?
ガルバリウム屋根は「メンテナンスフリー」「錆びない金属屋根」と言われることがあります。
メッキで加工されているとはいえ、ガルバリウム鋼板の芯材は鉄ですので錆びないとは言いきれません。
しかし、定期的にメンテナンスをすることによって、ガルバリウム屋根が劣化するまでの寿命を延ばすことができます。
具体的なメンテナンスの目安について解説していきましょう。
定期点検
屋根は、紫外線や風雨など外部の環境から住宅を守ってくれる重要な部分です。
しかし、ご自身で屋根全体の状態を把握するのは高所ということもあって危険を伴います。
5年に1度程度は屋根専門の業者へ定期点検を依頼して、補修すべき箇所がないか確認するとともに洗浄すると美しい外観が保てます。
また、台風や暴風の後など飛来物の危険を感じた場合は、薄い金属であるガルバリウム屋根に凹みが生じているかもしれません。
早めの点検が軽微な補修で済むポイントです。
コーキングの寿命
ガルバリウム屋根は、屋根材を野地板の上に敷いた防水シートへビスや釘で止めて施工します。
屋根の頂点の接続部分である棟板金などでは、屋根材の継ぎ目にコーキングを使用して施工されます。
コーキングの寿命はおよそ10年が目安となっているため、点検して劣化が進んでいれば補修や打ち替えが必要です。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は?
ガルバリウム鋼板本体の耐用年数は、メーカーや製品によって異なりますが25年から35年とされています。
定期的なメンテナンスして早めに劣化症状に気づき補修すると、40年程度まで耐久性を維持できます。
ガルバリウム屋根を長く使い続けるためにも、定期点検を欠かさないようにしましょう。
ガルバリウム屋根の劣化症状と対策
メンテナンスフリーといわれることがあるガルバリウム屋根も、定期的な点検や補修が必要なことがわかりました。
では、具体的にどのような症状が現れたときに対策を取ればいいのでしょうか。
ガルバリウム屋根に見られる、主な5種類の劣化症状を参考に解説していきましょう。
1.チョーキング(色褪せ)
ガルバリウム鋼板は、鉄を芯材としてアルミと亜鉛の合金でメッキして表面を塗装した建材です。
長年、紫外線や風雨にさらされているうちに、経年劣化の一つとしてチョーキング現象(色褪せ)が見られるようになります。
チョーキングとは工場出荷時の塗装が劣化が進み、建材に触れると黒板に描く「チョーク」のような白い粉が付着する現象を指します。
チョーキングが起きているということは、ガルバリウム屋根を守る塗膜が劣化している証拠です。
メッキ塗膜や芯材まで劣化が進む前にメンテナンスすることが必要です。
2.釘やビスの浮き
ガルバリウム屋根では、屋根材と屋根材の接合部である棟板金は釘やビスで固定されています。
釘やビスが建材から浮いている状態を放置すれば、「棟板金が風でめくれる」「屋根材が強風で飛散する」ことになりかねません。
棟板金が損傷すれば、その内部に設置されている木製の貫板と呼ばれる部材に水が侵入して腐食する恐れが出てきます。
最近では貫板に樹脂材が使われることが増えてきましたが、木製の貫板の場合は腐食が住宅の構造部分にまでおよぶ可能性があります。
早めに釘やビスの浮きに気づいて対策することで、大がかりな補修にならず済むでしょう。
3.コーキングの劣化
ガルバリウム鋼板自体の耐用年数は25年から35年なのに対して、屋根材の接合部分に使われているコーキングの寿命はおよそ10年です。
紫外線や風雨でコーキングが劣化すると、屋根材のつなぎ目にすき間ができてしまいます。
すき間から雨水が侵入を防ぐためにも、コーキング部分の点検とメンテナンスを早めに行うことが重要です。
4.錆び
ガルバリウム屋根にとって一番大切なのが錆に対するメンテナンスです。
金属製のガルバリウム屋根では、錆びを放置すると一気に劣化が進んでしまいます。
ガルバリウム屋根に発生する注意したい錆びには大きく分けて3つの種類があります。
それぞれの原因と対策について紹介していきましょう。
■白錆び
白錆びは、ガルバリウム鋼板のメッキ成分である亜鉛が酸化して発生します。
白錆びは「犠牲防食」と呼ばれる作用によって、亜鉛メッキが溶け出して鋼板自体が錆びるのを防いでいる状態です。
したがって亜鉛メッキの成分が無くなると、錆びが一気に屋根全体へと広がってしまいます。
白錆びは高温多湿や環境や潮風を受ける沿岸地域、雨が当たりにくい部分で発生しやすいのが特徴です。
そのような場所では、白錆びに注意を払って除去、または塗装などの対策を早めに取ることがおすすめです。
■赤錆び
ガルバリウム鋼板本体が表面を覆っている塗膜より深く傷つくことで、赤錆びが現れます。
また、白錆びの放置によっても赤錆びが発生します。
台風や強風などで硬いものが屋根へ飛来すると、ガルバリウム屋根のメッキ層の下にある基材まで傷つき、錆びが発生する可能性があります。
気象条件などによって屋根に飛来物があったと感じた場合は、専門業者へ点検を依頼して被害を最小限にとどめるようにしましょう。
■もらい錆び
異なる金属が接触した際に、電気化学作用によって起きる腐食を電食と呼びます。
ガルバリウム屋根自体には傷が無くても、ステンレス製の釘やビスなどが接触し続けると電食による「もらい錆び」が発生します。
また木片や落ち葉などが水分を含むことで木酢液が発生し、電食作用を起こす原因となります。
周辺に落葉樹などがあって雨どいや屋根に落ち葉がたまりやすい住宅では、定期的なメンテナンスが必要です。
5.塩害
海から吹いてくる潮風には、かなりの塩分が含まれています。
塩害とは、金属の表面に塩分を含む風や雨、汚れなどが付着して腐食や錆が発生する被害です。
ガルバリウム屋根は表面をメッキで守られていますが、芯材は金属です。
潮風によって錆びることには弱く、一気に劣化してしまいかねません。
そのため、ガルバリウム屋根の種類によっては、海岸から5km以内などではメーカー保証を受けられない場合があります。
塩害が起きる地域では、ガルバリウム屋根の耐用年数が短くなることに注意し、必ずメーカーの保証期間を確認するようにしましょう。
それでも魅力的なガルバリウム屋根
ガルバリウム屋根の劣化症状と対策について紹介してきました。
ガルバリウム屋根は、和瓦をはじめとした瓦屋根と比較すると初期費用が安く、スレート屋根と比べるとメンテナンス期間が長いことが特徴です。
その特性を活かして新築住宅だけではなく、現在では既存の屋根のリフォームにも多く用いられています。
ガルバリウム屋根の劣化症状や対策に注意を払えば、新築、リフォーム共に使いやすい屋根材だといえるでしょう。
お住まいの地域やリフォームの目的によって、ガルバリウム屋根の特徴を理解した上で採用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
軽量で丈夫、メンテナンスフリーともいわれるガルバリウム屋根ですが、実際は定期的なメンテナンスが必要なことがわかりました。
しかし、他の屋根材と比較すると耐震性や耐久性、そして何よりコストパフォーマンスに優れた屋根材といえます。
ガルバリウム屋根の定期点検をしながら快適な住環境を守り続けてください。