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瓦棒葺きとは?メリットとデメリット、メンテナンス方法も紹介!

「瓦棒葺き」をご存知ですか?
名前に「瓦」という文字がついているので瓦だと勘違いされやすいのですが、瓦棒葺きは屋根を取り付ける工法の一つです。

今回は瓦棒葺きのメリットやデメリット、メンテナンス方法を説明します。

瓦棒葺きとは?

「瓦棒葺き」は前述したように、屋根を取り付ける工法の一つです。「トタン屋根」という名前は、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

瓦棒葺きでは、屋根の傾斜に沿って一定間隔で瓦棒(心木)を並べて野地板と固定し、金属板をかぶせて釘で固定します。雨漏りしづらく施工性もいいことから、戦後からは戸建住宅の屋根に多く用いられてきました

では、瓦棒葺きのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。事項で説明します。

瓦棒葺きのメリット

瓦棒葺きのメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 重量が小さい
  • 雨漏りをしにくい
  • 安価で設置できる

それぞれ詳しく説明します。

陶器瓦と比べて軽量

瓦棒葺きのメリットには、陶器の瓦屋根に比べると非常に軽量なことが挙げられます。

具体的にどのくらい軽量かというと、約20坪の住宅の屋根に瓦を乗せたとき、陶器瓦の総重量は「約4,800kg」。対して、ガルバリウム鋼板の総重量は「約860kg」。ガルバリウム鋼板のほうがとても軽量だとわかります。

軽量であることのメリットは、建物への負担を軽減できることです。耐震性にも優れているので、陶器瓦の屋根のように耐震性を考慮した設計や工夫も必要ありません。

雨漏りのリスクが低い

雨漏りのリスクが低いことも、瓦棒葺きのメリットです。

瓦棒葺きでは、屋根の棟(むね)から軒(のき)までが1枚の金属屋根で覆われており、凹凸がありません。そのため、雨水を効率よく排水できるのです。

排水性がいいと、緩勾配の屋根にも用いることができます。近年人気を集めている、キューブ型の住宅やフラット屋根の住宅にも適している工法です。

費用を抑えられる

瓦棒葺きは施工性に優れているため、費用を抑えられることがメリットです。

瓦棒葺きを施工するときには、あらかじめ屋根のサイズに合わせて金属屋根をカット加工してから現場に持ち込みます。そのため現場での作業は、カットされた屋根材を屋根に張っていくだけです。

現場での手間や人件費も削減できることから、他の屋根材に比べて費用を抑えることができます。さらに、簡単に施工ができるので、作業が短時間で終わることもメリットだと言えるでしょう。

瓦棒葺きのデメリット

軽量で耐震性にも優れ、費用を抑えられる優秀な瓦棒葺き。しかし、以下のようなデメリットがあることも事実です。

  • 腐食しやすい
  • サビが発生しやすい
  • 音が響きやすい

それぞれ詳しく説明します。

腐食してしまう

瓦棒葺きは排水性がいいことをメリットで挙げましたが、軒部分は雨水を吸収しやすいという特徴があります。軒から雨水を吸い込んでしまうと、瓦棒(心木)が腐食してしまうことも。

瓦棒葺きの屋根では屋根材を瓦棒で固定しています。そのため、瓦棒が腐食すると固定力が弱くなり、強風や揺れによって屋根が吹き飛んだりズレたりしてしまう危険性があります

瓦棒の腐食は屋根材下で起こっているので、目視ではなかなか判断ができません。腐食を見逃さないためにも、定期的なメンテナンスや点検が必要です。

サビが発生してしまうことがある

瓦棒葺きで使用する屋根材は、金属屋根。そのため、サビやすいというデメリットがあります。

サビは経年劣化で発生することが多いですが、屋根が傷ついたときにも傷部分からサビてしまうことがあるので要注意。サビを放置しておくとそこから腐食が進み、最悪の場合、屋根材に穴があいてしまうことがあります。

台風や強風のあと、もしも屋根に傷がついていたら速やかに修理依頼をしましょう。

遮音性が低い

遮音性が低いことも、瓦棒葺きのデメリットです。雨音や風音などが響きやすく、台風や豪雨のときには家中に雨音が響き渡ってしまいます。

しかし、このデメリットは施行時に以下のような防音対策を行うことで軽減できます。

  • 防音断熱塗料を塗る
  • 防音シートを貼る
  • 分厚い野地板を使う
  • 断熱材を入れる
  • 防振材を入れる
  • 断熱材付きガルバリウム鋼板を使う

このように瓦棒葺きの屋根を用いるときには、屋根と天井の間に厚みを出すことで音を軽減できます。

瓦棒葺きのメンテナンス方法

瓦棒葺きは定期的なメンテナンスが必要です。ここではメンテナンス方法を紹介します。

塗装

瓦棒葺きの屋根は「10〜20年」程度でメンテナンスが必要です。定期的な塗装メンテナンスを行えば、防水機能を維持することができます。屋根材を長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスを行いましょう。

カバー工法(重ね葺き)

カバー工法とは、傷んだ金属屋根の上に防水シートと新しい屋根材を張っていく工法です。「重ね葺き」や「カバールーフ工法」と呼ばれることもあります。

既存の屋根材をすべて剥がす「葺き替え」とは違って、新しい屋根材を重ねて施工するため、既存の屋根を剥がす手間がかかりません。そのため、短時間かつ低コストで施工することが可能です。

また、2004年以前に建てられた住宅の場合、スレート屋根には人体に悪影響を及ぼす「アスベスト(石綿)」が使用されている可能性があります。アスベストの撤去は慎重に行う必要があり、処分費用も非常に高額です。

そのため、屋根材にアスベストが含有していることが懸念される場合には、カバー工法でのメンテナンスが適しているでしょう。

葺き替え

サビによる腐食で屋根材に穴があいてしまっていたり、剥がれたりなど、劣化状態が深刻な場合には「葺き替え」が必要です。

葺き替えを行う場合には、屋根材だけではなく下地からすべて新しいものに取り替えます。深刻な劣化を放置しておくと、住宅にも大きな影響を及ぼす可能性があるので、葺き替えを検討してください。

葺き替えの詳しい方法や時期に関しては、以下の記事に詳しくまとめています。

まとめ

瓦棒葺きは、屋根を取り付ける工法の一つです。

メリットは軽量で耐震性に優れており、安価に設置できること。一方で、腐食やサビが発生しやすく、遮音性が低いというデメリットがあります。

しかしデメリットは定期的なメンテナンスや、施工時に防音対策をすることで解消できます。
金属屋根を用いる予定なら、瓦棒拭きを検討してみてはいかがでしょうか。

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