モニエル瓦のメリットやデメリット、リフォームについて徹底解説!
モニエル瓦という瓦をご存知ですか?モニエル瓦はヨーロッパで生まれ、1970年台から2010年までの40年間にわたって愛されてきた瓦です。現在は生産が終了してしまったため、新築住宅に使用されることはほとんどありません。しかし2021年現在でも、モニエル瓦が乗っている住宅は数多くあります。
今回はモニエル瓦の基礎知識をはじめ、メリットやデメリット、劣化症状について説明します。
モニエル瓦とは?
モニエル瓦は、「スラリー層」と呼ばれる着色セメントで着色したコンクリート瓦です。1973年(昭和48年)に、オーストラリアのモニエル社とクボタの共同開発によって技術導入されました。正式名称は「乾式コンクリート瓦」ですが、モニエル社と共同開発したことから「モニエル瓦」と呼ばれています。屋根材メーカーによっては、クボタ瓦やスカンジア瓦と呼ばれることもあります。
瓦の表面はアクリル樹脂のクリアトップコートで保護されており、防水性に優れています。形状の種類も多く、カラーバリエーションが豊かなことも特徴です。これらの理由から人気を集めていたモニエル瓦ですが、残念ながら2010年に生産が終了されました。そのため、近年の新築住宅に使用されることはほとんどありません。
また、ヒビ割れによって一部分のみ交換することになった場合にも、モニエル瓦の在庫があるメーカーを探さなければなりません。場合によっては「葺き替え」を勧められることもあるようです。
モニエル瓦のメリット
モニエル瓦にはどんなメリットがあるのでしょうか。説明します。
防音性が高い
モニエル瓦は防音性が高いことがメリットです。コンクリートのメリットには遮音性や防音性が挙げられます。モニエル瓦もコンクリートでできていることから同じ特徴を持っているので、大雨の際にも、雨音が室内に響きにくくなります。
よって、音に敏感な方には最適の屋根材と言えるでしょう。
防水性・断熱性・耐熱性に優れている
モニエル瓦は着色セメントとアクリル樹脂で表面がコーティングされているため、防水性や断熱性、耐熱性にも優れています。集中豪雨や台風による大雨の際にも雨漏りがしにくいです。断熱性や耐熱性も優れているため真夏日でも室温が上がりにくく、快適に過ごすことができます。
カラーバリエーションが豊富
モニエル瓦はカラーバリエーションが豊富なことがメリットです。着色セメントを使って着色するため使用できる色が多く、他の瓦よりもカラーバリエーションが多くなっています。また、形状の種類も多いので、和風や洋風などのさまざまな住宅に使用することができます。
モニエル瓦のデメリット
防水性や耐熱性に優れ、カラーバリエーションも豊富で優秀な屋根材のモニエル瓦。しかし、いくつかデメリットもあります。ここでは、モニエル瓦のデメリットを説明します。
重量があるため耐震性が低い
モニエル瓦はコンクリートでできているため、重量があります。軽量さが特徴の金属屋根の重さが1平米あたり約5kgなのに対して、モニエル瓦は約43kg。なんと、モニエル瓦は金属屋根の8倍もの重さがあるのです。重量がある瓦は耐震性が低くなってしまうため、金属屋根に比べるとモニエル瓦の耐震性は劣ってしまいます。
塗装メンテナンスに注意が必要
モニエル瓦は数ある屋根材のなかでも、メンテナンスが難しい瓦だと言われています。瓦の表面を着色スラリーで塗装をするため、表面に「スラリー層」と呼ばれる層ができています。メンテナンスで再度塗装を施す際には、スラリー層と仕上げのアクリル樹脂塗装をキレイに取り除かなければなりません。
この処理が不十分なまま塗装メンテナンスをしてしまうと、メンテナンス後たった1〜2年で塗膜が剥がれてしまう恐れがあります。塗膜が剥がれてしまうとそこから雨水が染み込んでカビや苔が生え、その結果、瓦が劣化してしまいます。
そのため、メンテナンス時には高い技術を持った職人に依頼することが大切です。高い技術を持った職人を探さければならないことも、モニエル瓦のデメリットと言えるでしょう。
モニエル瓦の劣化症状とメンテナンスについて
モニエル瓦は10年前後で劣化症状が現れるため、メンテナンスが必要だと言われています。これから紹介する劣化症状に1つでも当てはまるものがあれば、屋根のメンテナンス時期がきていると思ってください。ここでは、モニエル瓦の劣化症状について説明します。
紫外線による色あせ
新築時はキレイに塗装されていたモニエル瓦も、10年ほど経つと紫外線や雨水によって色あせしてしまいます。色あせは屋根の劣化症状のなかでも、比較的早く現れる症状です。南側の屋根や屋根全体の色が新築時よりも減退したと思ったときには、業社に点検依頼をしてください。
カビや苔の繁殖
瓦の表面に緑や茶色の模様がついていたら、カビや苔が生えている可能性があります。苔は乾燥して仮死状態になると茶色くなる性質があるので、屋根が茶色くなっている場合はサビではなく、苔の可能性が高いです。
モニエル瓦は防水性が優れていますが、経年劣化によって防水性が弱まると、瓦が水分を含んでしまいます。瓦が水分を溜め込むと、瓦の表面にカビや苔が生えてしまうのです。
カビや苔は根を張る生き物なので放置していると瓦がどんどんもろくなり、耐久性が落ちてしまいます。カビや苔を見つけたら、早めに塗装依頼をしてください。
ヒビ割れや欠落
モニエル瓦は、経年劣化によってヒビ割れをしてしまうこともあります。コンクリートは水分量の変化によって、膨張したり収縮したりします。その動きによってコンクリートに負荷がかかり、ヒビ割れしてしまうのです。
コンクリートの水分量が変化してしまう原因にも、やはり防水性の劣化が関係しています。ヒビ割れを放置しておくとヒビが広がっていき、最後には欠落してしまうので、早急な対応が必要です。
このように、モニエル瓦は防水性が弱まるとさまざまな劣化症状を引き起こします。ここまで紹介した3つの劣化症状のうち、1つでも当てはまっているものがあれば瓦が劣化しています。症状がひどくなってしまう前に、早めに業社に点検依頼をしてくださいね。
まとめ
現在は生産終了してしまったモニエル瓦ですが、防水性や耐熱性にも優れているとても優秀な瓦だとわかりました。耐震性が心配なことや、メンテナンスが難しいと言われていますが、正しいメンンテナンスを行えば耐用年数は20〜30年と、比較的長いです。
定期的に業社に点検依頼をして、貴重なモニエル瓦を少しでも長持ちさせましょう。