【戸建30坪】屋根の葺き替え工事の相場と屋根材ごとの費用比較を解説
都市部にある日本の住宅の広さは、だいたい30坪の戸建てが一般的で、よく見かけます。
そんな30坪の一般的な住宅の屋根の葺き替え工事を検討する場合、どんなことを考慮に入れておくといいでしょうか。
また、30坪の戸建ての葺き替え工事の相場費用はいくらなのでしょう。
そして、葺き替えたい種類の屋根材の価格や、古い屋根材の撤去費用などを含めた相場費用の明細をご紹介します。
それらの点から、一般的な家屋である30坪の屋根の葺き替え工事には、具体的にどれほどの費用がいるのか参考にしていただけるなら幸いです。
30坪の戸建で屋根葺き替え工事の相場と日数
30坪戸建て、屋根材と下地を新しいものと交換する葺き替え工事です。
- 費用相場・・・120万円~260万円
- かかる日数・・・10~15日間
- 葺き替え工事をする屋根の築年数・・・築30~40年目
なお、上記の相場目安は2022年5月時点の目安です。
現在、木材価格の高騰やウクライナ紛争により、建築資材の変動が著しく大きくなっており、今後価格の変動が予想されます。
また上記以外にも、屋根の葺き替え工事の相場は、増減する要因が多く存在しますので、そのことは次に解説します。
同じ30坪の屋根葺き替え工事で費用が異なる理由
屋根の葺き替え工事では、同じ戸建て30坪の場合でも、費用が変わってくる理由がいくつか存在しています。
ではどんな理由が費用の違いを発生させるのでしょうか?
下記の7つの点があります。
-
屋根材の種類
- 屋根の形状
- 屋根の勾配
- 下地の劣化具合
-
建物周辺の立地
-
下屋の存在
- アスベストの処理
上記のそれぞれについて解説します。
屋根材の種類
屋根の葺き替え工事において、設置や撤去する際は屋根材によって費用が異なります。
たとえば、瓦屋根から別の屋根材に葺き替える時は、瓦屋根が重量がある分撤去費用が多くかかり、反対に瓦屋根に新しく吹き替える場合は、他の屋根材より手間がかかるため費用がかさみます。
また金属屋根にする場合は、軽くて加工しやすいため、工事費用を安くあげられるでしょう。
もちろん、スレートや金属などの屋根材によって価格が変わるので、比較検討が必要ですね。
屋根の形状
屋根の形状にはさまざまな種類があります。同じ30坪の戸建てでも、屋根の形状によって葺き替え工事費用は変動します。
たとえば屋根の形状には、切妻屋根、寄棟屋根、などを筆頭に12種類ほどあります。
形状で加工する手間が変わるため、価格に差がついてきますので、葺き替え工事を行う際には、屋根の形状による価格も明細に表記してもらうといいでしょう。
(屋根の形状の一部)
屋根の勾配
屋根の勾配も葺き替え工事の費用に大きな影響を及ぼしてきます。
屋根の勾配が急になると作業費が上がりますし、緩いと耐久性に問題が生じてきますので屋根の勾配は重要です。
たとえば、屋根の角度がとがって勾配の傾斜がきついと、作業もしにくく危険も伴うため作業費が上がります。
いっぽう勾配が緩い場合は、緩くなるにつれ水キレも悪くなるため、劣化が早くなり防水に力をいれる必要が生じます。
また瓦の場合は緩勾配用の瓦を使うと、工事費は安くなっても、屋根材が割高になります。
屋根の勾配は、きつすぎず緩すぎずを考慮して検討する必要があるでしょう。
下地の劣化具合
屋根の葺き替えの際には、下地処理の有無も費用の予算に入れておくことは必要です。
下地材は野地板やルーフィング(防水シート)などのことで、下地材の劣化が進んでいると、下地補修を施す必要があります。
下地処理も劣化状況により補修内容が異なってきますので、修理費用も当然変動してきます。
ですが、下地に問題がない場合もあり、その際は補修費用が発生することなく、首尾よく屋根の葺き替え工事に進めるでしょう。
建物周辺の立地
屋根の葺き替え工事の費用には、資材を搬入するための建物周辺の立地も大きくかかわってきます。
なぜなら、葺き替え工事をする30坪の戸建ての住宅の傍まで、道幅が狭いなどでトラックの進入ができない場合には、一輪車などを使い手運びで屋根材や廃材をトラックまで運ばねばならず、搬出入費用が割り増しになってしまうからです。
ですから、同じ30坪の戸建ての屋根葺き替えも、資材をどのように搬入するかで価格が変動します。
それで業者に見積依頼をしてもらう時には、正確性を期するため現地の立地を確認してもらってからにしましょう。
日本は狭い立地で立っている30坪の戸建住宅も多いですので、屋根の葺き替え工事の際には、必ず考慮にいれておきたい点ですね。
下屋の存在
葺き替え工事では、下屋(げや)の有無で価格に違いが生じます。
下屋の必要性については、建物の最上階には大屋根がありますが、1階部分の外壁まで雨や日光から守れないため、1階部分に下屋という小さめの屋根が取り付けられるのです。
同じ30坪の戸建てでも、下屋がある住宅は割高になります。
なぜなら、下屋がある部分の面積が増えることや、下屋部分に設置する屋根材の加工の手間も増すからです。
(下屋の例)
アスベストの有無
既存の屋根材がスレート瓦の場合、アスベストが含まれているものがあります。
アスベスト含有のスレート瓦を、撤去したり処分したりする場合には、費用が余分にかかります。
なぜなら、発がん物質のアスベストの粉塵を飛散させないようにするため、特別な手順が必要となり非常に手間がかかるからです。
2006年にはアスベストを使ったスレート瓦の製造と販売は禁止されました。
しかし既存の屋根がスレート瓦で、葺き替えを計画するということは、築後30年以上は経過していることがほとんどです。
そうなると、アスベストが含まれている可能性は高いといえるでしょう。
そしてアスベスト含有のスレート瓦の撤去と処分の費用は高騰を続けています。
下記に費用を紹介しておきます。
スレート(カラーベスト・コロニアル)の撤去・処分費
・アスベストなし 3,000~3,500円/㎡
・アスベストあり 5,000~6,000円/㎡
となっています。
30坪の屋根葺き替え工事の屋根材ごとの比較
瓦からスレート瓦に葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
※足場仮設工事(メッシュ込み) | 226.9㎡ | 800円 | 181,520円 |
瓦の解体撤去費用 | 68.24㎡ | 2,000円 | 136,480円 |
※野地板増張り費用 | 68.24㎡ | 3,500円 | 238,840円 |
※新規防水シート設置 | 68.24㎡ | 1,000円 | 68,240円 |
新規スレート設置 | 68.24㎡ | 4,000円 | 272,960円 |
※新規棟板金加工設置 | 21.9m | 3,000円 | 65,700円 |
※新規軒先板金加工設置 | 32.6m | 1,500円 | 48,900円 |
※廃材処分費 | 3㎥ | 35,000円 | 105,000円 |
※諸経費(交通費等) | 1式 | 35,000円 | 35,000円 |
消費税 | 10% | 115,264円 | |
合計 | 1,267,904円 |
30坪の建物の屋根を、瓦からスレートに葺き替えた場合の費用合計は126万7,904円です。
瓦屋根は重いので、瓦の解体・処分費用は他の屋根材よりも高くつきます。
いっぽう、スレート材は、価格も安く加工しやすいため普及率が高く、建売りの新築物件に利用されるケースが多い屋根材といえるでしょう。
なお、※印の項目は下記の相場費用の明細で同様の項目と金額になりますので、まとめて”共通費用”とします。
共通費用の合算した金額は743,200円で、30坪戸建ての一般的な費用相場として考えてください。
瓦からガルバニウム鋼板に葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
共通費用 | 743,200円 | ||
瓦の解体撤去費用 | 68.24㎡ | 2,000円 | 136,480円 |
新規ガルバリウム鋼板加工設置 | 68.24㎡ | 8,000円 | 545,920円 |
消費税 | 10% | 142,560円 | |
合計 | 1,568,160円 |
30坪の住宅の屋根を瓦からガルバニウム鋼板に葺き替えた場合の費用工事は156万8,160円です。
瓦屋根を葺き替える場合、瓦の重さも考慮して耐震対策として軽量化を目指すことがあります。
その点、がりバリュウム鋼板は、屋根材の中でも軽量化の候補のトップに挙がることでしょう。
ガルバリウム鋼板は、価格は少々高いのですが、耐久性に優れているため近年人気を集めている屋根材です。
瓦からアスファルトシングルに葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
共通費用 | 743,200円 | ||
瓦の解体撤去費用 | 68.24㎡ | 2,000円 | 136,480円 |
新規アスファルトシングル設置 | 68.24㎡ | 5,500円 | 375,320円 |
消費税 | 10% | 125,500円 | |
合計 | 1,380,500円 |
30坪の家の屋根を瓦からアスファルトシングルに葺き替えた場合の工事は138万500円です。
アスファルトシングル屋根は、北米を中心に海外ではメジャーな屋根材です。
耐用年数はガルバリウム鋼板より短いですが、メリットとしては軽くデザインも豊富なうえ安価なため、日本でも今後ますます人気になることでしょう。
スレートからガルバニウム鋼板に葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
共通費用 | 743,200円 | ||
スレートの解体撤去費用 | 68.24㎡ | 5,000円 (アスベストあり) |
341,200円 |
新規ガルバリウム鋼板設置 | 68.24㎡ | 8,000円 | 545,920円 |
消費税 | 10% | 163,032円 | |
合計 | 1,793,352円 |
30坪の家の屋根をスレートからガルバニウム鋼板に葺き替えた場合の工事は179万3,352円です。
スレート屋根を解体撤去する費用は瓦よりも高いです。
なぜなら、葺き替えを要するスレート瓦は、築後30年以上経っていることが多いためアスベストが含まれており、解体撤去費用が高くなるからです。
今までスレート瓦だった住宅は、メンテナンス塗装の頻度が高いため、ガルバリウム鋼板が選ばれています。理由としてはメンテナンス費用も不要で耐用年数が長いメリットに着目できます。
ガルバリウム鋼板の初期費用は高いですが、長い目でみるとコスパがいいことから今後も需要が高まるでしょう。
スレートから軽量瓦(防災瓦)に葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
共通費用 | 743,200円 | ||
スレートの解体撤去費用 | 68.24㎡ | 5,000円 (アスベストあり) |
341,200円 |
新規軽量瓦設置 | 68.24㎡ | 12,000円 | 818,880円 |
消費税 | 10% | 190,328円 | |
合計 | 2,093,608円 |
30坪の家の屋根をスレートから軽量瓦・防災瓦に葺き替えた場合の工事は2,093,608円です。
スレート屋根が既存の屋根材である場合、塗装工事の面倒さからメンテナンスフリーの瓦屋根にする方も多いです。
従来の瓦は重量があるのがデメリットでしたが、現在は従来の1/3程度の重さで防災性の高い軽量瓦・防災瓦が使われています。
また耐用年数が50年以上という頼もしい瓦ですが、施工費や材料費が非常に高い難点があります。
スレートからアスファルトシングルに葺き替えた場合の工事費用見積明細
項目 | 数量 | 単価 | 小計 |
共通費用 | 743,200円 | ||
スレートの解体撤去費用 | 68.24㎡ | 5,000円 (アスベストあり) |
341,200円 |
新規アスファルトシングル設置 | 68.24㎡ | 5,500円 | 375,320円 |
消費税 | 10% | 145,972円 | |
合計 | 1,605,692円 |
30坪の家の屋根をスレートからアスファルトシングルに葺き替えた場合の工事費用は1,605,692円です。
スレート屋根を葺き替える際、できるだけ安価で性能の良い屋根材にしたいものです。
瓦やガルバリウム鋼板は高くて手が出ない時、アスファルトシングル材を選択するのはおすすめといえるでしょう。
アスファルトシングル材は比較的安く、耐用年数も15年~20年と長いです。
まとめ
日本家屋に多く見られる30坪の戸建ての屋根の葺き替え工事に関してご説明してきました。
同じ30坪の戸建てでも、屋根材の種類、屋根の形状、屋根の勾配、下地の劣化具合、建物周辺の立地、下屋の存在、アスベストの処理などの理由により価格差が生じる理由があります。
また30坪の屋根面積の求め方には、平面積に屋根の勾配率を掛けて計算されます。
そして瓦屋根やスレート屋根から新しい屋根材に葺き替える具体的な費用相場の明細を示しました。
この記事でご紹介できた屋根材は限られていますが、業者に見積を依頼する時の十分な参考になるのではと思っています。
一般的住居である30坪戸建ての屋根の葺き替えを検討される方にとって、役立つ記事であることを願っています。