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ガルバリウム鋼板屋根とは?その特徴とメリット・デメリットを解説

屋根材や外壁材としてよく利用されているガルバリウム鋼板。

「屋根をリフォームしたいけれどどんな素材があるのか」「瓦屋根やスレート屋根以外のおすすめの素材は?」と悩んでいる人もたくさんいらっしゃいます。

そこで今回の記事では、丈夫で長持ちすると話題のガルバリウム鋼板の特徴とメリット・デメリットについてご紹介していきましょう。

屋根をリフォームしたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

ガルバリウム鋼板屋根とは

ガルバリウム鋼板とはアメリカで約40年前に開発された、錆びにくい金属系の建築素材です。

鉄に「亜鉛」と「アルミ」でメッキを施した薄い金属素材のガルバリウム鋼板は、それまでの金属屋根の主流だったトタン屋根と比べると、錆びにくいという特徴があり急速に普及しました。

では、それまでよく使用されていたトタン屋根とガルバリウム鋼板屋根のちがいとは一体何なのでしょうか。

トタン屋根は鉄の表面に「亜鉛」でメッキを施した素材です。一方、ガルバリウム鋼板屋根のメッキでは「アルミニウム、亜鉛、シリコン」と複数の原料を組み合わせて使用しています。

アルミニウムの腐食に強い特性が加わることで、耐久性に優れた屋根材となっています。

現在使用されているガルバリウム鋼板といえば、ほとんどの場合、メッキの原料にマグネシウムを加えた製品を指すようになりました。

従来タイプのガルバリウム鋼板と比較すると約3倍、錆に強いといわれています。

ガルバリウム鋼板屋根のメリット

ガルバリウム鋼板屋根材を使用する、5つのメリットについて見ていきましょう。

耐久性にすぐれている

外壁や屋根は住宅の外部で風雨や紫外線にさらされる環境にあります。そのため、外壁材や屋根材は「耐久性にすぐれていること」がもっとも重要です。

ガルバリウム鋼板屋根は、亜鉛の特徴である犠牲防錆作用(亜鉛が鉄より先に腐食することで鉄の腐食を防ぐ作用)とアルミニウムの耐食性を組み合わせることで、トタン屋根の約5倍の耐久性を実現しています。

鉄にメッキを施したガルバリウム鋼板屋根は、塩害にも強いため海の近くの住宅でもよく使用されている屋根材です。

また積雪が多い地方でも、金属系素材のガルバリウム鋼板屋根は雪の重みに耐えられるので、安心して使用できます。

耐熱性にすぐれている

ガルバリウム鋼板のメッキには高い比率でアルミニウムが使用されています。そのため、アルミニウムメッキ鋼板に近いすぐれた耐熱性も兼ね備えています。

また、ガルバリウム鋼板の表面は反射率も高いです。

屋根は一年中に直射日光を受け続けていますが、反射率が高いガルバリウム鋼板屋根では、屋根の表面温度の上昇が少なく室内の温度上昇を抑える効果があります。

耐震性が高い

ガルバリウム鋼板は厚さが1~3mm程度と非常に薄い金属系素材です。

重量は瓦と比較すると1/10、スレート屋根と比べても1/5程度と、軽量であることが大きな特徴の一つです。

屋根の重量は、住宅全体の耐震性に大きく関わってきます。

屋根の軽量化を図れるガルバリウム鋼板屋根は、耐震性にすぐれた屋根材といえるでしょう。

加工しやすい

さきほども触れたように、薄い金属製素材であるガルバリウム鋼板は、メッキ層もやわらかいためとても加工しやすいことも特徴です。

さまざまな屋根の形状に合わせて加工できることでから、既存屋根のカバー工法にも柔軟に対応できます。

屋根の下地や内部に劣化が見られない場合のリフォームとしておすすめのカバー工法では、ガルバリウム鋼板屋根を使うことが多いです。

豊富なカラーバリエーション

ガルバリウム鋼板屋根は、加工しやすいだけではなく、着色も容易におこなえます。

そのため、さまざまなデザインやカラーバリエーションがそろっており、好みの外観にあわせた製品を選べることもメリットの一つです。

特に最近のトレンドである、シンプルモダンスタイルやアーバンスタイルの外観を作り上げるには、ガルバリウム鋼板屋根がおすすめです。

その独特な素材感やイメージから、ガルバリウム鋼板屋根を取り入れる方が増えています。

ガルバリウム鋼板屋根のデメリット

次に、ガルバリウム鋼板屋根のデメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。

断熱性が低い

鉄はもともと熱伝導率が高い特性を持つ素材です。

メッキを施していても、ガルバリウム鋼板屋根は単体では断熱性が低い製品が多く、施工時に工夫が必要となります。

しかし近年、断熱材と一体化した製品が多数展開されるようになり、少しずつ解消されつつあるデメリットといえるでしょう。

遮音性が低い

ガルバリウム鋼板屋根は薄くて軽量なのが特徴です。

軽量であることは、住宅の耐震性を高めるという点から、ガルバリウム鋼板屋根の大きなメリットの一つです。

しかし薄い金属系の屋根材は、瓦屋根やスレート屋根と比べるとどうしても遮音性に乏しくなります。

従来のガルバリウム鋼板屋根材では、雨音が大きく聞こえるなどのデメリットが指摘されていました。

しかしこのデメリットについても、断熱材一体型のガルバリウム鋼板屋根の開発で解消されつつあるといえるでしょう。

改良されたタイプを採用する場合は、性能が良くなる分だけ価格も上昇することは覚えておきたいポイントです。

錆びないわけではない

ガルバリウム鋼板のメッキは「亜鉛、アルミニウム、シリコン」で構成されており耐久性は抜群です。

しかしメッキ塗膜の層自体は非常に薄いものです。

そのため、メッキ塗装の表面に傷がつきやすいことはガルバリウム鋼板のデメリットといえます。

メッキ塗膜に傷がつくと、そこから水や異物が入り込んで、屋根材の腐食が始まってしまう恐れもあります。

錆びない屋根材ではなく、「錆びにくい屋根材」であることを理解したうえで採用するのがおすすめです。

ガルバリウム鋼板屋根の劣化症状とメンテナンス

ガルバリウム鋼板屋根はメンテナンスフリーというわけではありません

耐久性に優れており、耐用年数は25~35年といわれているガルバリウム鋼板屋根。

定期的な点検によって劣化症状を把握し、メンテナンスをおこなえば、葺き替えることなく長く使い続けられる屋根材です。

では、実際に見られるガルバリウム鋼板屋根の劣化症状について見ていきましょう。

錆び

ガルバリウム鋼板屋根は錆びにくい金属系の屋根材ですが、まったく錆びないというわけではありません。

劣化症状としてあげられるガルバリウム鋼板屋根の錆びは2種類あります。

■白錆び

ガルバリウム鋼板のメッキ層の原料である亜鉛が酸化することで現れる錆びです。

表面に白い斑点が見られるのが特徴で、外観が損なわれますが屋根材の機能に重大な影響を及ぼすわけではありません。

■赤錆び

さきほどのデメリットでも触れたように、ガルバリウム鋼板の表面のメッキ塗膜は薄いです。

台風や強風で飛来したもので傷や凹むことは考えられます。

その傷や凹みをそのまま放置しておくと、赤みがかった錆びが浮いてきます。

赤錆びは次第に範囲が拡大して、ガルバリウム鋼板屋根材の機能を大きく損なう原因となるので注意が必要です。

電蝕

異なる金属素材同士が接触することで起きる電蝕(異種金属接触腐食)。

電蝕による腐食も、ガルバリウム鋼板屋根で気をつけたい劣化症状の一つです。

ガルバリウム鋼板は電蝕を起こしやすい金属系素材です。

ですから、住宅のリフォームや新築時に使用する、釘や金物の金属製品との接触には注意して施工する必要があります。

電蝕からの錆びは赤錆びと同じように、ガルバリウム鋼板本体へ広がり屋根材としての機能を低下させてしまいます。

色褪せ

ガルバリウム鋼板屋根のメッキ塗膜は、直射日光や風雨に長年さらされることによって少しずつ劣化します。

住宅の外観を損ねる色褪せは実は屋根材の劣化を知らせてくれる症状の一つです。

メッキ塗膜の劣化が進行すると金属屋根本体の腐食へと進行して、鋼板屋根材に穴が開くという事態にもなりかねません。

そうなる前に、定期的な検査やメンテナンスをおこなうことが重要です。

ガルバリウム屋根のメンテナンスは必要?

ガルバリウム屋根は「メンテナンスフリー」「錆びない金属屋根」と言われることがあります。

メッキで加工されているとはいえ、ガルバリウム鋼板の芯材は鉄ですので錆びないとは言いきれません。

しかし、定期的にメンテナンスをすることによって、ガルバリウム屋根が劣化するまでの寿命を延ばすことができます。

具体的なメンテナンスの目安について解説していきましょう。

定期点検

屋根は、紫外線や風雨など外部の環境から住宅を守ってくれる重要な部分です。

しかし、ご自身で屋根全体の状態を把握するのは高所ということもあって危険を伴います。

5年に1度程度は屋根専門の業者へ定期点検を依頼して、補修すべき箇所がないか確認するとともに洗浄すると美しい外観が保てます。

また、台風や暴風の後など飛来物の危険を感じた場合は、薄い金属であるガルバリウム屋根に凹みが生じているかもしれません。

早めの点検が軽微な補修で済むポイントです。

コーキングの寿命

ガルバリウム屋根は、屋根材を野地板の上に敷いた防水シートへビスや釘で止めて施工します。

屋根の頂点の接続部分である棟板金などでは、屋根材の継ぎ目にコーキングを使用して施工されます。

コーキングの寿命はおよそ10年が目安となっているため、点検して劣化が進んでいれば補修や打ち替えが必要です。

ガルバリウム鋼板の耐用年数は?

ガルバリウム鋼板本体の耐用年数は、メーカーや製品によって異なりますが25年から35年とされています。

定期的なメンテナンスして早めに劣化症状に気づき補修すると、40年程度まで耐久性を維持できます。

ガルバリウム屋根を長く使い続けるためにも、定期点検を欠かさないようにしましょう。

ガルバリウム屋根の劣化症状と対策

メンテナンスフリーといわれることがあるガルバリウム屋根も、定期的な点検や補修が必要なことがわかりました。

では、具体的にどのような症状が現れたときに対策を取ればいいのでしょうか。

ガルバリウム屋根に見られる、主な5種類の劣化症状を参考に解説していきましょう。

1.チョーキング(色褪せ)

ガルバリウム鋼板は、鉄を芯材としてアルミと亜鉛の合金でメッキして表面を塗装した建材です。

長年、紫外線や風雨にさらされているうちに、経年劣化の一つとしてチョーキング現象(色褪せ)が見られるようになります。

チョーキングとは工場出荷時の塗装が劣化が進み、建材に触れると黒板に描く「チョーク」のような白い粉が付着する現象を指します。

チョーキングが起きているということは、ガルバリウム屋根を守る塗膜が劣化している証拠です。

メッキ塗膜や芯材まで劣化が進む前にメンテナンスすることが必要です。

2.釘やビスの浮き

ガルバリウム屋根では、屋根材と屋根材の接合部である棟板金は釘やビスで固定されています。

釘やビスが建材から浮いている状態を放置すれば、「棟板金が風でめくれる」「屋根材が強風で飛散する」ことになりかねません。

棟板金が損傷すれば、その内部に設置されている木製の貫板と呼ばれる部材に水が侵入して腐食する恐れが出てきます。

最近では貫板に樹脂材が使われることが増えてきましたが、木製の貫板の場合は腐食が住宅の構造部分にまでおよぶ可能性があります。

早めに釘やビスの浮きに気づいて対策することで、大がかりな補修にならず済むでしょう。

3.コーキングの劣化

ガルバリウム鋼板自体の耐用年数は25年から35年なのに対して、屋根材の接合部分に使われているコーキングの寿命はおよそ10年です。

紫外線や風雨でコーキングが劣化すると、屋根材のつなぎ目にすき間ができてしまいます。

すき間から雨水が侵入を防ぐためにも、コーキング部分の点検とメンテナンスを早めに行うことが重要です。

4.錆び

ガルバリウム屋根にとって一番大切なのが錆に対するメンテナンスです。

金属製のガルバリウム屋根では、錆びを放置すると一気に劣化が進んでしまいます。

ガルバリウム屋根に発生する注意したい錆びには大きく分けて3つの種類があります。

それぞれの原因と対策について紹介していきましょう。

■白錆び

白錆びは、ガルバリウム鋼板のメッキ成分である亜鉛が酸化して発生します。

白錆びは「犠牲防食」と呼ばれる作用によって、亜鉛メッキが溶け出して鋼板自体が錆びるのを防いでいる状態です。

したがって亜鉛メッキの成分が無くなると、錆びが一気に屋根全体へと広がってしまいます。

白錆びは高温多湿や環境や潮風を受ける沿岸地域、雨が当たりにくい部分で発生しやすいのが特徴です。

そのような場所では、白錆びに注意を払って除去、または塗装などの対策を早めに取ることがおすすめです。

■赤錆び

ガルバリウム鋼板本体が表面を覆っている塗膜より深く傷つくことで、赤錆びが現れます。

また、白錆びの放置によっても赤錆びが発生します。

台風や強風などで硬いものが屋根へ飛来すると、ガルバリウム屋根のメッキ層の下にある基材まで傷つき、錆びが発生する可能性があります。

気象条件などによって屋根に飛来物があったと感じた場合は、専門業者へ点検を依頼して被害を最小限にとどめるようにしましょう。

■もらい錆び

異なる金属が接触した際に、電気化学作用によって起きる腐食を電食と呼びます。

ガルバリウム屋根自体には傷が無くても、ステンレス製の釘やビスなどが接触し続けると電食による「もらい錆び」が発生します。

また木片や落ち葉などが水分を含むことで木酢液が発生し、電食作用を起こす原因となります。

周辺に落葉樹などがあって雨どいや屋根に落ち葉がたまりやすい住宅では、定期的なメンテナンスが必要です。

5.塩害

海から吹いてくる潮風には、かなりの塩分が含まれています。

塩害とは、金属の表面に塩分を含む風や雨、汚れなどが付着して腐食や錆が発生する被害です。

ガルバリウム屋根は表面をメッキで守られていますが、芯材は金属です。

潮風によって錆びることには弱く、一気に劣化してしまいかねません。

そのため、ガルバリウム屋根の種類によっては、海岸から5km以内などではメーカー保証を受けられない場合があります。

塩害が起きる地域では、ガルバリウム屋根の耐用年数が短くなることに注意し、必ずメーカーの保証期間を確認するようにしましょう。

それでも魅力的なガルバリウム屋根

ガルバリウム屋根の劣化症状と対策について紹介してきました。

ガルバリウム屋根は、和瓦をはじめとした瓦屋根と比較すると初期費用が安く、スレート屋根と比べるとメンテナンス期間が長いことが特徴です。

その特性を活かして新築住宅だけではなく、現在では既存の屋根のリフォームにも多く用いられています。

ガルバリウム屋根の劣化症状や対策に注意を払えば、新築、リフォーム共に使いやすい屋根材だといえるでしょう。

お住まいの地域やリフォームの目的によって、ガルバリウム屋根の特徴を理解した上で採用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

ガルバリウム鋼板屋根は、シンプルでスタイリッシュな住宅外観を作るのに魅力的な屋根材です。

大きなメリットとしてスレート屋根と比較すると耐久性に優れていることや軽量なので、住宅全体の耐震性能をアップさせることがわかりました。

非常に魅力的な屋根材ですが、メンテナンスフリーなわけではありません。定期的な点検やメンテナンスをおこなうと、ガルバリウム鋼板屋根を良い状態で長く使用し続けられます。

屋根のリフォームをおこなう際には、瓦屋根やスレート屋根の他にガルバリウム鋼板屋根も候補に含めて検討してみてください。

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