
屋根の葺き替え工事とは?基礎知識とメリット・デメリットを解説
葺き替え工事とは、屋根リフォーム施工方法の一つです。屋根は、住宅を日差しや風雨から守ってくれる役割を持っています。
部分的な工事では補修できない場合や、雨漏りなどの症状が現れているときには、屋根の葺き替え工事が必要になります。
今回は、富山で屋根の工事実績が豊富な当店が、屋根の葺き替え工事の基礎知識とメリット・デメリットをわかりやすく解説していきましょう。
屋根のリフォームを考えている方必見の内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
屋根の葺き替え(ふきかえ)工事とは
屋根のリフォーム工事は大きく分けて
- 部分補修
- 葺き直し
- 葺き替え
- カバー工法
の4種類があります。
葺き替え工事とは、既存の屋根材と瓦を固定している瓦桟を取り外して、防水シートなどの下地を新しくする工事のことです。
屋根や住宅の状態によっては部分的な葺き替えで済むこともあり、その場合は「部分葺き替え工事」と呼ばれます。
いずれにしても、葺き替え工事は屋根のリフォーム工事のなかでもっとも大規模な工事です。
陶器瓦屋根の葺き替えが必要な状態とは
さきほどもご紹介したとおり、屋根の葺き替え工事は家全体のリフォームのなかでも規模が大きいものです。
瓦屋根の葺き替えが必要となるのはどのような状態なのでしょうか。主な屋根の状態についてご紹介していきましょう。
陶器瓦屋根の耐用年数
陶器瓦屋根は、耐用年数が一番長い屋根材です。
耐用年数は40~60年ともいる陶器瓦ですが、長持ちすることから点検やメンテナンスが不要と考えている方も多いことも特徴です。
瓦自体は耐用年数を迎えていなくても、屋根材の下にある防水シートの耐用年数は最長でも20年程度です。
瓦だけでなく屋根全体の寿命を把握してメンテナンスを行うことが必要です。
陶器瓦屋根の劣化状況
屋根は台風や強風にさらされているため、気づかない間に陶器瓦がずれていたり、割れや欠けを生じていたりすることがあります。
定期的な点検を怠っていると、軽微な劣化症状の部分から雨水が侵入して下地材が腐食してしまいます。
このような症状がある場合は、葺き替え工事が必要となることが多いでしょう。
雨漏りなどのトラブル
一般的な瓦屋根は、屋根材、瓦桟、防水シート、ベニヤ板、野地板で構成されています。
瓦のずれやはがれなどを放置した結果、気づいたときには住宅内に雨漏りをしていたということも。
木造住宅において、家の構造部分への水の侵入は安全性に関わってきます。
防水シートが寿命を迎えている場合には葺き替え工事がおすすめです。
陶器瓦屋根の葺き替え後の屋根材について
陶器瓦は屋根材のなかでもっとも耐久性があると同時に、重量も一番重いです。
そのため、住宅の重心が高くなって地震のときに揺れやすく、建物とのバランスによっては耐震性が心配されます。
では、陶器瓦の屋根を葺き替える際にどのような屋根材を選ぶべきなのでしょうか。
日本の家屋でよく使用されている屋根材の特徴をご紹介しましょう。
陶器瓦の特徴
和瓦や日本瓦とも呼ばれる陶器瓦は、日本の伝統的な屋根材です。粘土質の土を材料として焼き締めた陶器製で、釉薬をかけたつややかな釉薬瓦と無釉薬のいぶし瓦が代表的です。
耐久性に優れており、飛来物などで大きな衝撃を受けなければ50年以上持つといわれています。
一方、他の屋根材と比較すると非常に重いこと、施工に時間と費用がかかることが問題とされています。
スレート瓦の特徴
現在の日本でもっとも普及している屋根材が、スレート瓦です。
スレート瓦には天然スレートと人工(化粧)スレートがありますが、天然スレートは供給量が限られているため、一般的にスレート瓦=人工スレートと考えられています。
主な原料はセメントと繊維素材で、薄い板状に加工されているのが特徴です。
スレート瓦は、カラーバリエーションが豊富なこと・初期費用が安い・重量が軽い・施工業者が多いことから、葺き替え後の屋根材として選ばれることも多くなっています。
ガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は、亜鉛メッキ鋼板であるトタンにアルミを加えて強度を高めた金属製の屋根材です。
ガルバリウム鋼板は厚みが1~3mmと非常に薄く、加工が容易、軽量なことが大きな特徴です。
最近では住宅の耐震性能をアップするために、陶器瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えが多くなっています。
また塩害や積雪に強いため、沿岸部や雪の多い地域では特に採用する割合が増えています。
屋根葺き替え工事の手順
屋根の葺き替え工事は、住宅の外装リフォームのなかでももっとも大がかりな工事です。
屋根の面積によっては、大量の瓦をはがして地面へ下ろす必要があります。
既存の屋根は、基本的に住宅の構造部分である垂木の上に野地板を貼り、さらにその上にベニヤ板と防水シートが設置されています。
葺き替え工事では、屋根材である陶器瓦と瓦を屋根に固定するための瓦桟を取り外して作業します。
1.足場を設置
高所作業のため、屋根の葺き替え工事では必ず足場を組みます。
屋根材等の撤去の際に出るホコリや粉塵を防ぐ養生シートを足場へ固定して、周囲への飛散を予防します。
2.既存の瓦屋根を撤去
既存の陶器瓦を下ろします。陶器瓦を地上まで運んでくれる昇降機(電動リフト)の設置場所についてですが、敷地に十分な広さがない場合は道路の使用許可を取り、警備員を配置する必要があります。
また、廃棄処分する既存の屋根材を仮置きする場所も必要です。下ろした瓦や瓦桟、漆喰、残土は産業廃棄物として処分します。
3.新しいベニヤ板と防水シートを設置する
既存のベニヤ板と防水シートの上に、新しいベニヤ板と防水シートを張ります。
防水シートは屋根のなかでもっとも雨の侵入を防いでくれる材料です。
できるだけ防水性能が長期間持つ製品を使用するようにしましょう。
4.新しい屋根材の取り付け
新しい屋根材を葺きます。棟板金や雪止め、雨樋を設置します。最後に足場を解体して、屋根の葺き替え工事の完了です。
瓦屋根の葺き替え工事のメリット
ここからは、瓦屋根を葺き替えするメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット1.家全体の寿命が延びる
屋根を葺き替えると、住宅への水の侵入を防ぐ防水シートが新しくなります。
住宅を風雨や激しい気象条件から守る機能が向上するため、結果的に家全体の寿命を延ばせます。
メリット2.家の外観が新しくなる
屋根は外壁と同じく、住宅の外観のイメージを決める部分です。
これまでと異なる外観を楽しみたい場合は、陶器瓦ではなくスレート瓦やガルバリウム鋼板を使ってみるのもおすすめです。陶器瓦とはまた違ったカラーバリエーションや印象を楽しめます。
メリット3.耐震性を向上できる
住宅全体のバランスを考えて耐震性を向上させたい場合も、より軽量なスレートやガルバリウム鋼板を素材とした屋根材の使用を考えてみましょう。
陶器瓦と比較すると耐用年数は短くなりますが、屋根の重量は格段に軽くなります。
瓦屋根の葺き替え工事のデメリット
大がかりなリフォーム工事である瓦屋根の葺き替えには、いくつかデメリットもあります。短所についてもしっかりと納得したうえで発注しましょう。
デメリット1.費用が高い
屋根の葺き替え工事は、屋根リフォームのなかでもっとも費用が高くなります。
屋根材、防水シートなど材料費がかかるほか、既存の屋根の処分費用も必要です。
築年数が経過していてアスベストの使用リスクがある住宅の場合、さらに廃材処分費用が膨らむ可能性が高いでしょう。
デメリット2.工期が長い
屋根の葺き替え工事は、既存の屋根の撤去から新しい屋根材を葺くところまで工期が長いこともデメリットです。
屋根に関わる工事は高所作業のため、必ず足場を組みます。足場と養生シートに囲まれて過ごす期間が長いことは、あらかじめ心準備しておきましょう。
葺き替え工事の実績が多い業者は、換気の方法やエアコンを使用できるように配慮してくれます。
デメリット3.廃材やホコリが出る
瓦屋根の撤去の際には、養生シートで予防していても周囲にホコリが舞ってしまいます。
廃材やホコリをめぐって近隣とトラブルにならないよう、対策とともに工事前の挨拶がかかせません。
まとめ
さてここまで、瓦屋根の葺き替え工事の基礎知識とメリットやデメリットについて解説してきました。
屋根は、住宅を風雨や厳しい気象条件から守ってくれる重要な部分です。
以前のメンテナンスから間が空いていると感じる方は、ぜひ専門業者へ点検を依頼しましょう。
必要であれば葺き替え工事を検討して、安心・安全に暮らせる家を手に入れてください。